妊活における男女のコミュニケーション

本ブログでは女性患者様からの少々生々しいお声を一つ紹介します。

「不妊治療に対してパートナーの理解が足りない」
「なんだか治療を他人事の様に話を聞いている感じ」
「自分だけが頑張っている気がする」

もちろんこれが全ての患者様に当てはまる訳ではないですし、それぞれのご状況等はあると思いますが、時折こういったお声があります。
筆者も男性なだけになんとも申し訳なくなってしまうお話しなのですが…

確かに不妊治療の内容を考えると男性より女性の方が治療の身体の負担や工程、時間の割合は高く不公平にも感じますよね。

当然男性の精子の力はタイミング法、人工授精、体外受精とあらゆるステップで必要になるのでコミュニケーションは円滑に進めて行きたいところですね。

男性脳？ 女性脳？

よく言われる男性脳、女性脳。
性差の価値観や感覚の違いの話はよくあります。

女性は「問題解決などの目的がなくても、お互いのつながりや価値観の共有をとても大事にする」
男性は「基本的には目的を重要視。目的がないとコミュニケーションを取らない」
等とも言われますね。

とはいえ、お互いが同じ価値観の共有がない事には治療も円滑にとは行きにくくなりますよね。
ここではお互いの身体の仕組みや、現象などについて理解を深める事が相互の理解に繋がるのではないでしょうか？やはり互いが寄り添うことが必要です。

筆者も当院の男性不妊の治療に入らせて頂きますが、実際の問診や身体の仕組みの伝え方としては、男性には「コレコレこの様な状況なのでこうなる」といったような仕組みを中心に説明させて頂くと理解して頂ける事が多い様に思えます。

男性の場合、女性の治療内容以前に女性の生殖の仕組み。つまり月経についての知識がそもそも朧気な方が多いのです。
精液所見に不安のある方は知る機会が多いため知識を有している方が多いですが、所見に問題のない方には月経の基本的な仕組みから説明させて頂き「日数やお薬の影響もあって身体がホルモンの影響を受けるので、身体の変化やそれにちなんだ感情や体調の変化が出るのです。」とお話すると「成る程」「正直初めて理解しました」と合点がいく方が大半です。
恥ずかしながら勉強するまでは私もそうでした。

「ご体調はいかがですか？」と聞くと 「大丈夫です」と返ってくる男性は多いですが、よくよく聞いて調べてみると身体は限界近くまで疲弊している男性もしばしば。
ストレスや疲れは精子の状態にに大きく関わり、その所見は1日1日振れ幅が大きくあります。
（男性不妊鍼灸関しては こちら をご覧ください）
なのでしっかりと体調や血流を整えてベースアップしておく必要性がありますね。

女性の場合、月経があるので、否が応でもご自身の体調と向き合う機会が多いですが、逆に男性は女性に比べて体力がある方が多いこともあり体調の把握が苦手な方が多い傾向にあるように思えます。

男女とも、お互いに理解しあう努力を

まずは女性の身体、男性の身体それぞれの仕組みをお互いに理解しあう事がスムーズな妊活に繋がるのではないでしょうか？
日本の未熟な性教育や、まだまだ不妊治療の認知度の低さから身体の仕組みや現象について知る機会があまりない現状です。
難しい生理学として考えるのではなく、「こんな時はこうなる」「こういう時はこうしたくなる」の様に身体についての情報交換から始めてみるのはいかがでしょうか？

女性も男性も心身ともに健康的な状態が妊活にとっても好ましい状態といえます。
鍼灸は「心は身体に、身体は心に」という概念の元で治療を進めていきます。
心身共に整うことでより良い結果に必ず繋がります。

少し一方的なお話ではありましたが、実際の治療現場の声としてのご紹介でした。
参考の一端として読んで頂ければ幸いです。

文責: 2023年9月22日
アキュラ鍼灸院
鍼灸師　戸田 信太郎