着床障害でお悩みの方へ
こちらで紹介させていただく事例については免疫の調整の必要のある方や内膜に異常がある方を主に紹介すると共に、まだお受けになっていない検査があれば、それを検討するための情報にしていただければと思い、掲載します。着床には受精卵側の問題、免疫の問題、内膜環境の問題と3つ全て揃って初めて着床と着床の持続が可能となります。受精卵に問題があると思われる方は「育卵鍼灸治療」をお読みください。
着床障害の着床鍼灸の流れ
着床には主に4つの要素が大きく関係しています。
7mm以上、10mm程度がもっともよい内膜の厚さです。
内膜の厚さが出ない問題は血流不足に由来します。血流不足は主に血液が巡っていない、いわゆる循環障害と血自体が不足している状態の2種類あります。血流については、お腹の圧痛を取っていく血流促進のための鍼灸施術がありますので、それでカバーすることが可能ですが、「血」自体が不足している場合は アキュラ漢方薬店 にて漢方服用をし、「血」自体を増やすことにより良い結果が得やすくなります。
無数の毛細血管が張りめぐらされている内膜の微小循環の状態と子宮内膜に存在する子宮内フローラ(細菌叢)のバランス
着床にとって大切なのは、子宮内膜の「厚さ」だけではありません。
子宮内膜には無数の毛細血管が張りめぐらされており、そこから酸素や栄養が供給されています。そのため、子宮内膜の微小循環(血流)の状態は、良好な内膜環境を考えるうえで重要な要素の一つです。
また近年では、**子宮内に存在する細菌叢(子宮内フローラ)**についても研究が進んでおり、子宮内膜の状態や着床との関連が注目されています。
着床にはタイミングがあります
卵子は精子と受精したあと、細胞分裂を繰り返しながら約5日(120時間)かけて胚盤胞へと成長します。
胚盤胞になると、受精卵は透明帯と呼ばれる殻から外へ出る「ハッチング」を行い、子宮内膜に接着し、着床へと進みます。
しかし、子宮内膜はいつでも胚を受け入れられるわけではありません。
排卵後、エストロゲンやプロゲステロンの作用によって子宮内膜が変化し、胚を受け入れやすい限られた期間が訪れます。これを**着床の窓(implantation window)**と呼びます。
つまり、着床には
「胚が適切な段階まで成長していること」と「子宮内膜が胚を受け入れられる状態になっていること」
の両方が、適切なタイミングで重なることが重要です。
体外受精でもこの考え方に基づき、自然周期では排卵のタイミングを基準に、ホルモン補充周期では黄体ホルモンを開始してからの日数を基準として移植日が決められます。
子宮内膜の血流と鍼灸
東洋医学には**「瘀血(おけつ)」**という、血液の巡りが滞っている状態を表す考え方があります。
瘀血と現代医学でいう血流障害はまったく同じ概念ではありませんが、当院では子宮・骨盤周辺の循環を考える際の一つの指標としています。
内膜環境が気になる方では、お腹に圧痛がみられることがあり、当院ではその圧痛を確認しながら施術を行います。
また、腰や仙骨周辺にも強い圧痛や筋緊張がみられる方がいるため、その場合には腹部だけでなく、腰・仙骨周辺も含めて施術を行い、骨盤周辺の状態を整えていきます。
鍼灸だけでなく、睡眠、運動、食事などの生活習慣も含め、できるだけ良い状態で移植を迎えられる身体づくりを目指します。
子宮内フローラと腸内環境
近年では、子宮内に存在する細菌叢、いわゆる子宮内フローラについても研究が進んでいます。
特にラクトバチルス属の菌と、着床率・妊娠率・妊娠継続率などとの関連について多くの報告があります。
一方で、子宮内フローラだけを整えれば着床するという単純なものではありません。
子宮・膣と腸は解剖学的にも近い位置にあり、当院でも子宮内フローラに問題を指摘された方の中に、便秘や腸内環境の不調を抱えている方が少なくありません。
そのため、便秘などがある場合には、鍼灸だけでなく、食生活の改善や必要に応じて漢方・サプリメントなども利用しながら、腸内環境を含めて整えていきます。
必要に応じて医療機関での検査も検討します
何度移植しても着床しない場合などには、鍼灸だけで考えるのではなく、子宮内膜そのものに問題がないか医学的に確認することも大切です。
必要に応じて、
・慢性子宮内膜炎の検査(CD138など)
・EMMA検査(Endometrial Microbiome Metagenomic Analysis)
・ALICE検査(Analysis of Infectious Chronic Endometritis)
などについて、担当医への相談をおすすめすることがあります。
ただし、これらの検査をすべての方が受ける必要があるわけではありません。
これまでの移植回数、胚の状態、子宮内膜の厚さや状態、既往歴などを踏まえながら、必要性を判断することが大切です。
当院でも必要に応じて提携クリニックをご紹介しています。
子宮内膜は、単に「何mmあるか」だけで評価できるものではありません。
内膜の厚さ、血流、ホルモン環境、着床のタイミング、慢性炎症、子宮内フローラなど、さまざまな要素が関係しています。
当院では鍼灸・漢方・栄養・生活習慣へのアドバイスを組み合わせながら、できるだけ良い内膜環境で移植を迎えられるようサポートしています。
妊娠成立には免疫の寛容が深く関係しており、受精卵を異物として認識し、攻撃してしまうことで妊娠を妨げてしまいます。
免疫については、首回りの圧痛が強い方がほとんどです。交感神経が優位な状態を改善するとともに、ビタミンミネラルの不足(ビタミンD濃度、銅亜鉛濃度)の確認や免疫系(Th1/Th2, NK活性)の血液検査も考慮にいれ、治療を進めて行きます。
ビタミンDはアメリカ内分泌学会では血中25(OH)D濃度が20ng/mL未満で不足としています。
当院では エッセンシャルフォーミュラ という独自開発のサプリメントへ50μg 配合しておりますので、十分補充されるようになってます。日本人は不足している方が非常に多いのと、補充していてもなお不足している方がいますので、しっかり補給することが大切です。
銅亜鉛については、亜鉛が子宮内膜に付着することで着床しずらいとの報告があります。亜鉛の摂取は血中亜鉛濃度を下げる効果があり、着床しやすい環境に貢献することができあす。他にも、受精卵の分割を促す作用があり、男性の場合はテストステロン(男性ホルモン)の合成や分泌低下、精子形成低下につながるので十分摂取することが必要です。
Th1/Th2細胞検査とは血中に含まれるTh1/Th2の比率を知らべる検査です。Th1が高くなりすぎると、胎児や胎盤を排除しようとして、着床不全を引き起こします。Th1/Th2を改善する漢方がありますので、必要と判断さえる方にはお勧めさせていただいております。鍼灸と併せてご利用願います。
これは受精卵の質に関連することですが、染色体の異常があったり、ミトコンドリアの異常があった場合、着床を妨げます。
適宜、患者様やクリニックの治療方針と照らし合わせながら、最善の方法を取らせていただきます。
また、当院ではPQQなど、卵子の老化へ対応する抗酸化サプリメントの開発に取り組んんでおりますので、そちらの服用もおすすめしています。
着床障害の患者様の症例

40歳 K様の場合
不妊治療の経緯
体外受精移植回数4回、妊娠反応なし
凍結胚残数(胚盤胞3個(着床前診断(PGT-A)を行っていない受精卵)
不妊の原因
不明
補足
着床不全の原因としては3つあります。
- 受精卵側の問題
→ 着床前遺伝子検査で問題があるかどうか分かります。
- 子宮内環境の問題
→ ERA(子宮内膜着床能力検査)、子宮内細菌培養検査
- 受精卵受け入れの問題
→ 免疫寛容の異常
2、3については異常はありませんでしたが、1については、検査を行っていないため、受精卵側の問題は残っておりました。
来院時にすでに受けていた検査項目
着床不全に関する検査は全てクリアいたので追加でお願いした検査はありませんでした。
不妊鍼灸を受けた理由
一度も着床しないため。また、不妊治療によるストレスで十分な睡眠やおいしい食事がとれない状況。残っている受精卵の着床率を上げたいと願い来院。
おからだの症状
首は少し押しただけでかなりの圧痛あり。
お腹にも多数の圧痛。うつ伏せの状態でお背中の(丁度心臓の裏あたり)、胃の裏、子宮・卵巣の裏に圧痛あり。
鍼灸治療計画
まずは移植のための準備に向けお身体を整えること。免疫寛容や子宮内膜の異常は検査で認められなかったものの、東洋医学的な原因としては瘀血(おけつ)といって、血液が巡っていない状態が原因。また、受精卵側に異常があった場合は再度、採卵から治療をはじめなければならない可能性もあるため、次の採卵に備えた「育卵鍼灸」も並行して開始。
鍼灸治療経過と通院頻度
1カ月目は、週に2回の頻度でご来院。治療効果を持続させるため、ご自宅でのお灸を依頼。
治療開始1か月ほどで、首の圧痛、下腹部やその他の圧痛は7-8割がた改善。
睡眠も十分とれるようになり、食事も美味しくとれるようになる。
但し、胃のムカムカは妊娠のことを考えると悪化し、自信がなくなり、気分の落ち込みあり。
2か月目は、引き続き残っている圧痛の箇所を丁寧に治療。通院頻度は週に1回へ減らす。
治療開始4カ月目、当院の治療開始後初めての移植にて妊娠。
移植後の日々の不安の解消法として、不確実なブログなどの情報に左右されるのではなく、医学的根拠に基づいた情報を中心にとお伝えさせて頂いた。合わせ心身ともにリラックスして生活して頂くことも心掛けて頂いた。
妊娠後は流産の可能性などを考えると更に不安感が悪化したが、鍼灸師のカウンセリングによるケアにて、無事妊娠12週へ到達し、当院での治療を終了。
鍼灸院からのメッセージ
ありとあらゆる検査項目をクリアし、当院を受鍼。
強いストレスは流産の原因にもなることを示唆する論文もあり、また、不妊の原因の半分はストレスに由来すると、私が研修を受けたBoston IVFのドマール博士が論文で発表されています。ストレスは着床不全の原因となり得るため、近年ではTLCテンダーラビングケアが推奨されています。また、心労による体力不足も妊娠継続の妨げになります。
妊娠・出産は、非常に大きな負担が身体にかかります。そのため、K様の母体自身が生命の危機を感じ、妊娠が成立しづらい状況になっていたのではないかと推測します。





