下記は1999年と2010年のデータを比較しています。
1999年にWHOから出された精液検査の正常値は以下の通りです。 | 2010年にWHOから出された精液検査の正常値は以下の通りです。 |
精液量 2.0ml以上 | 精液量 1.5ml以上 |
精子濃度 1ml中に2000万個以上 | 精子濃度 1ml中に1500万個以上 |
精子運動率 50%以上 | 精子運動率 40%以上 |
正常形態精子 30%以上 | 正常形態精子 4%以上 |
この10年で量、濃度、運動率、正常形態の全てにおいて基準値が下がってます。
これから先の10年後、20年後にはさらに基準値が低下することが予測されます。
どうして精子が減るか、その原因は不明なことが多いですが、生活スタイルの変化、ストレス、喫煙、肥満、環境ホルモン、食生活等が原因として挙げられています。
ストレスや生活習慣の変化と精子の関係を調べた論文はいくつもあります。
1)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21452563/
仕事のストレスが精子の質に影響を与える
2)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18510090/
生活習慣の質が精子の質に影響を与える
3)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19052335/
精神的ストレスが精子に与える影響
最近報告のあった、中国湖南省の若い男性30,636名の精子を調べてい論文を紹介します。この検査では 2001–2005 (n = 3,114) 2006–2010 (n = 10,386) 2011–2015 (n = 17,136) の3つの時期で精子を測定してます。
年がたつにつれ、精子の質が低下していくことがはっきりしました。
Decline in semen quality among 30,636 young Chinese men from 2001 to 2015
Fertil Steril. 2017 Jan;107(1):83-88
結果は
精子濃度 6,800万/mL から4,700万/mLへ低下
正常形態率 31.8% から 10.8%へ低下
前進運動精子数 3,400万 から2,100万/mLへ低下
精子数 1臆8,200万から1臆1,900万へ低下
このように急激に低下しています。
しかし、一方で、少し古いですが、日本(札幌)での調査では、全く変化はなかったといった報告もあります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11191086/ J Androl. 2001 Jan-Feb;22(1):40-4.
東京、それも丸の内あたりのオフィス街で調査をおこなったら、結果は違っているのでしょうか?
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