PCOSの場合、体外受精の治療前にピルを用いることは妊娠率の低下を招く

妊活応援ブログ

本論文はPCOSの患者のピルの服用や黄体ホルモンの利用が体外受精の妊娠率、出産率、流産率にどのように影響するか調べた論文です。自然に生理が来るのを待つ自然待機群と黄体ホルモン群、ビル群の3つの群に分けて検討。

Effect of pretreatment with oral contraceptives and progestins on IVF outcomes in women with polycystic ovary syndrome

Hum Reprod (2017) 32 (2): 354-361.

方法

14箇所のセンター(2013-2014年)においてPCOSと診断された1,508名が参加した。

自然待機群(コントロール)323名

黄体ホルモン群283名

ピル群902名

D2,D3 からアンタゴニスト法で刺激。新鮮胚移植、凍結胚移植での妊娠率、流産率、出産率を比較。

結果

新鮮胚移植

妊娠率[自然待機群:63.6%。ピル群48.8%]相対リスク0.77

出産率[自然待機群:48.1%。ピル群36.1%]相対リスク0.75

ピル群において有意に妊娠率、出産率が低くなった。

凍結胚移植

妊娠率は自然待機群とピル群で同等。

流産率は(27.7% vs 13.0%, RR: 2.13)となりピル群で有意に高くなった。

出産率はピル群49.9%、黄体ホルモン群50.7%、自然待機群60.2%で有意差は認められなかった。

黄体ホルモン群は自然待機群と比べ新鮮胚移植、凍結胚移植の両者において同様な妊娠率、流産率、出産率となった。

結論

PCOSで生理開始を調整するためにピルを用いると新鮮胚移植において妊娠率、出産率が低下した。黄体ホルモンを用いると、ピルを用いた場合よりも妊娠率と出産率が有意に上昇した。

解説

多膿胞性卵巣症候群PCOS(polycystic ovary syndrome)とは卵胞が卵巣の中にたくさんでき、ある程度の大きさにはなるのですが、排卵がおこりにくくなる病態です。自然妊娠しにくい場合は体外受精の適応となります。体外受精をおこなう場合、生理が不順なので生理を起こしてから採卵周期に入ることが多くなります。

自然に生理を待つか、ピルを用いて生理をおこすか、黄体ホルモンを用いて生理をおこすか、この3パターンが選択できます。
結論から言えることは、PCOSの場合ピルで生理を起こすのではなく、自然に生理を待ってから採卵周期に入る方が良い結果が出ることがわかります。また、ピルを服用するよりは、黄体ホルモンを用いて生理を起こすことも好ましいことがわかります。

2017 January BMJ に鍼灸のPCOS患者に対しての有効性についての論文発表がありました。
Effectiveness of acupuncture in women with polycystic ovarian syndrome undergoing in vitro fertilisation or intracytoplasmic sperm injection: a systematic review and meta-analysis

鍼灸を受けた群と受けてない群と比較すると、鍼灸を受けた群では妊娠継続率の上昇 CPR (RR 1.33, 95% CI 1.03 to 1.71) 、OHSSのリスクの低下(RR 0.63, 95% CI 0.42 to 0.94)がみられたが、出産率(RR 1.61, 95% CI 0.73 to 3.58)に有意性はなかった。

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