
論文解説:
移植前後の鍼灸は妊娠率を向上するか?
GETTING STRAIGHT TO THE POINT: DOES INDIVIDUALIZED PRE- AND POST-EMBRYO TRANSFER ACUPUNCTURE INCREASE PREGNANCY RATES? Lauren Grimm, et al. DOI:https://doi.org/10.1016/j.fertnstert.2020.08.1299
この研究は2018年5月~2020年4月に凍結胚移植の前後に鍼灸を受けた群と受けていない群の妊娠率を後方的に調べた論文です。患者は移植前後30分づつ直前直後に鍼灸を受けた。妊娠は移植後14日目において、胎嚢確認にて判断した。
合計で654移植周期が分析された。BMIや年齢は両群とも同じだった。臨床妊娠率(胎嚢確認)は鍼灸群と無鍼灸群とでは、統計的に鍼灸群60.6% 対 46.95% で鍼灸群の妊娠率が優位に高かった(p=0.017). その他、PGT(着床前診断)を行った受精卵の移植では、鍼灸群73.93% 対 無鍼灸群63.29% だった(p=0.042)
解説:
残念ながらこの論文では、PGTにおいて異常がなかった移植数やその背景が不明であるが、PGTにおいて、異常がない受精卵の妊娠率は移植前後のみの2回ではなく、継続的に鍼灸を受けた群では80%を超えるのではないかと思います。また、この論文では着床能についての検査の有無に触れていないので、そこらへんがもっと明らかになれば、さらに良いデータがとれたのではないかと思います。