【論文解説】不妊症に対する鍼灸治療のレビュー(レビュー論文)

論文解説:
不妊症に対する鍼灸治療のレビュー(レビュー論文)

A Review of Acupuncture Treatment for Infertility
Hea & Ho, J Acupunct Res 2021;38(4):257-264

近年、不妊症に関する様々な東洋医学研究が行われている。しかし、鍼灸を用いた不妊治療の最新動向を体系的に分析した研究は存在しなかった。本レビューでは過去10年の研究を調査し、不妊症に対する鍼灸治療の効果と使用された経穴について分析結果を報告している。

レビューの対象となったのは、電子データベース(PubMed,EMBASE,NDSL,OASIS,KISS)上に存在する、2010年1月から2021年8月までに発表された研究である。検索語は“infertility,” “sterility,” “acupuncture,” “electroacupuncture,” “bloodletting,” “pharmacopuncture” が用いられ、ヒットした文献からヒト不妊症の鍼灸治療を対象とした臨床試験に関する文献のみを選択し、計18件をレビューに含めている。
英語・中国語以外の文献、体外受精に関する文献、不妊症や鍼灸治療に関連がない文献、動物実験に関する文献、レビュー/メタ解析/症例報告など臨床試験でない文献、は分析対象から除外された。

18件の研究で計534人に介入が行われた。通常の鍼のほか、レーザー鍼、電気鍼が治療に用いられた。11件が多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に関する研究で、2件が早発卵巣不全(POF)、2件が精巣静脈瘤、残り3件はその他の不妊症に関する研究であった。不妊の原因を人数ベースでみるとPCOSが338人(63%)と最も多く、次いでPOFが73人(14%)、精索静脈瘤が41人(8%)、卵管閉塞症が35人(6%)、排卵障害が27人(5%)、子宮内膜菲薄化が20人(4%)であった。筆者らは「PCOS以外の不妊症や男性不妊症に関する積極的な研究が必要である」とコメントしている。

これらの研究では、対照群や西洋医学単独の群と比較して、鍼灸治療を用いた群で不妊症の治療効果が有意に改善した。また、鍼灸に漢方薬を併用することでさらに結果が向上する傾向にあった。いくつかの研究では、鍼灸治療を行ったグループには副作用がみられなかった。治療効果が改善した項目は、妊娠率、排卵率、子宮内膜の厚さ、BMI、POFに対する奏効率、精子の正常形態率、精子の運動性、精子濃度などである。FSH値が調査された研究(1件)では改善を認めなかった。

ただし、鍼灸単独の研究は6件(PCOSで3件、精巣静脈瘤で2件、卵管閉塞症で1件)と少なく、多くの研究で西洋医学や漢方薬を併用している点に留意すべきであると筆者らは述べている。

これらの研究で最も多く使われた経穴はCV4、CV3、CV6、SP6、BL23であった。
不妊症の原因別では以下の通りであった(頻度順)。
PCOS:SP6、CV4、CV3、CV6、ST36、EX-CA1、ST29、SP10、BL23、CV12
POF:SP6、BL20、BL23、BL32、EX-CA1
精巣静脈瘤:ST29、BL23、BL32、CV3、CV4、VC6
その他の不妊症:CV6、CV4、CV3、KI13、ST29

解説:
どの経穴(ツボ)を使って不妊鍼灸を行ったかといった角度からの分析が興味深いと思いました。
多くは、神経領域を特定し、その支配領域に影響を及ぼす場所へ鍼をさしています。

当院においても、神経支配領域を意識した選穴を行っております。鍼灸治療では、いくつかのツボをコンビネーションで使います。その組み合わせは目的によって、いくつかのパターンに分けています。また、パルス刺激を行う場合その強度や間隔によって効果か変わってきます。

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