妊娠するための基礎体温とタイプ別漢方について

妊娠するための基礎体温

妊活の基本としてとても重要なのが基礎体温。基礎体温は漢方にとっては大切なお体のデータ。ご自分の体と向き合うためにも、基礎体温の習慣をおすすめします。
そもそも基礎体温とは何でしょうか。

基礎体温とは、影響を与える要因を出来るだけ排除した状態で測る体温のことで、基礎代謝の状態を示します。起床時の安静な状態で計測するのはそのためですね。
これから妊活を始めるという方や、生理周期とご自分の体調の関係をチェックしたい方に、まずは3周期を目安に是非とっていただきたいデータです。

西洋医学的には、基礎体温をつける意味は排卵をしているかどうかを見る程度、とも言われます。(中には二層になっていても排卵をしていないこともあります。)また、ドクターには採血や超音波など数字や画像でピンポイントにとれるデータがたくさんあるため、基礎体温を毎日つけることを特に推奨しない場合もありますが、漢方では生理周期を整える指標として連続したデータの取れる基礎体温はとても貴重です。

それでは実際に基礎体温からどのようなことがわかるのか見ていきましょう。
まず一般的に、正常な基礎体温のポイントは下記の3項目です。
(月経周期が25日~38日で一定であることも大切です)

①低温期と高温期の間に0.3℃以上差がある二相性(排卵の有無)
②低温期から高温期への移行がスムーズ(3日以内)(黄体機能)
③高温期が10日以上持続しており、陥落がない(黄体機能)

次に、東洋医学的な視点から、タイプ別アプローチ法を簡単にみていきましょう。

・全体的に基礎体温が低く、高温期との差も少ないタイプ
低温期が35℃台のことも多く、高温期でも36℃台前半など、全体的に体温が低く、冷え性で体力もない方。東洋医学的体質では、「腎陽虚」や「血虚」タイプが多いです。「補陽」「補血」「散寒」の漢方薬をお勧めします。例えば婦宝当帰膠®、温経湯など。

・全体的に体温が高いタイプ
低温期でも36.5℃以上、高温期では37℃を超えることも多く、のぼせほてりやイライラ傾向がある方。東洋医学的体質では、「陰虚」や「熱」タイプが多いです。体に必要な潤い分を補充し、少しクールダウンの方向性の漢方をお勧めします。例えば知柏地黄丸や亀鹿仙®など。

・ギザギザが多いタイプ
体温の変動が激しいタイプです。測定時間が一定で睡眠も取れているのにこのような体温となるのは、一概には言えないですが、ストレスの多い環境の方に見られることがあります。中には高プロラクチン血症の方や、PMSが強い方もおられ、気の巡りをよくする漢方薬をお勧めすることがあります。例えば加味逍遥散など。

・低温期から高温期への移行に3日以上かかるタイプ
低温期からの上昇がだらだらと階段状に上がり、なかなか高温期の体温まで上昇しないパターンです。東洋医学的体質では、色々な原因がありますが、血の巡りの悪い「瘀血」や気の巡りの悪い「気滞」タイプが多いです。巡りをよくして体温の急上昇をはかります。

・低温期が長い(16日以上)タイプ
排卵までの日数が長く、成熟卵胞が育つのに時間がかかります。西洋医学的には多嚢胞性卵胞症候群(PCOS)や甲状腺機能に問題がある場合があります。
血流をよくする漢方薬や、気血を補充する漢方薬など、いくつかのアプローチを組み合わせることが多いです。

・高温期が短い(10日以下)タイプ
排卵後体温が上昇してから次の月経で体温が落ちるまでの間の高温期の持続期間が短い方、もしくは高温期の途中に体温が落ちる陥落がある方。
西洋医学的には黄体機能不全と言われます。東洋医学的体質では、「腎虚」「血虚」「気滞」などのタイプが多いです。例えば参茸補血丸®婦宝当帰膠®などをお勧めします。

・高温期がなく、一層性一層で無排卵の方
高温期にはならなくとも月経がある場合もあります。東洋医学的体質では「腎虚」「気血不足」「瘀血」などのタイプが多いです。例えば杞菊地黄丸、参馬補腎丸®、十全大補湯などを組み合わせてお勧めします。

※ここにあげたお薬はほんの一例です。お一人お一人の体質によりその組み合わせやお薬の相性もありますので、是非専門家にご相談されることをお勧めいたします。

最近では婦人体温計と携帯の基礎体温アプリが連動するものもあり、体温計と携帯をピタッとくっつけるだけでデータを移行してくれるすぐれものまで出ています。
検温が非常にストレスになる場合や3交代制のお仕事をされていて基礎体温を測るタイミングがまちまちになってしまう方は無理をしなくても大丈夫ですし、起床時間のずれ、前日の飲酒、睡眠時間が短い等が原因で体温に変動が出ることもありますので基礎体温が全てではありません。
しかし、タイミング法や自然周期での人工授精などにチャレンジされている場合は、漢方薬をご提案する際の判断材料としても非常に有力な手段となり得ますので、測定されているのであれば是非お持ちください。

つけてみたけれど見方がよくわからないという方は是非お持ちになってご来店ください。
一緒に解読してゆきましょう。

アキュラ漢方 徐 朝子

よろしければ過去の記事も参考にしてください。

執筆者紹介

アキュラ鍼灸院 漢方相談 徐 朝子(じょう あさこ)

薬剤師
日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
明治薬科大学卒業

病院・調剤薬局での約15年の勤務経験のなかで、本当の健康とは何かについて考え、未病・体のバランス・心身一如という概念のある東洋医学に出会う。一念発起してイスクラ中医薬研修塾へ入塾。漢方薬局勤務の後、アキュラ漢方を開店。

日本漢方、アロマ、ハーブ、サプリメントなど興味のあることを学んで参りました。今まで吸収してきた知識や経験を存分活かし、心を込めてご相談させていただきます。

妊娠するための基礎体温

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