妊活のための腸活を

2022年8月19日2023年12月15日

この酷暑の中、冷たい飲食物や空調の効きすぎによって、内臓や手先足先が冷えている患者様が多く見られます。
実はお身体の不調や腸内環境と子宮内環境は関係があり、腸活と妊活はぜひ一緒に取り組んでいただきたいものでもあります。

ここではまずは腸のお話から始めてまいります。

腸活できていますか？

腸活は食事に加えて、日頃の生活習慣、お身体の熱・冷え・水分のバランスを整えることが重要です。
忙しいからと、食事や睡眠や運動にまで気を払えていない人は多いのではないでしょうか？
疲れが残っていると感じることはないですか？
またヨーグルトや納豆を食べているから腸活は十分だと思っている方、いませんか？

腸から取り入れたものが血液を通して全身にいきわたり影響を及ぼす点
腸の運動は自律神経でコントロールされている点
腸と脳はお互いの出すホルモンにより影響を相互に受ける点

この三点から、腸は日々の心身の不調と相互に影響を受け合っています。
そのため不調の原因となる日頃の生活習慣、お身体の熱・冷え・水分のバランスを整え、現在の体質を改善することが、腸活にとって重要になります。

実際にあなたの腸はどれほど働いてくれているでしょうか？

腸内環境セルフチェック

ご自身の腸の働きを日々セルフチェックするには、便の形状や色を見るのが1番です。
ここでは｢ブリストル便形状スケール｣を用いて見ていきましょう。

※｢ブリストル便形状スケール｣とは…
⇒排便の状態を判断する世界的な基準として、医療や介護の現場で用いられているもの。

1〜7のタイプに分類されます。

コロコロ便…兎の糞のような小さく硬い便、暗い茶色
硬い便…コロコロ便が繋がったような便、焦げ茶色
やや硬い便…水分が少なく表面のひび割れた一本の便、茶色
普通便…適度に柔らかいバナナ状、7〜8割りが水分。明るい茶色や黄土色
やや軟らかな便…とても軟らかく水分の多い便、色は4と同じくらい
泥状便…泥のようで形のない便、黄土色
水様便…固形物を含まない液体状、薄い黄土色

数字が小さいほど消化管を出るまでにかかる時間が長く、1は100時間ほど、7では10時間ほどになります。
3〜5が腸への負担が少なく理想的なものです。
また健康な腸を持つ人の便のにおいはそこまで気になるものではありません。
においのきつさは悪玉菌が増えているサインです。

では腸内環境が悪化することで、お身体にはどのような変化がおこるのでしょうか？

腸内環境の悪化によって起こりうること

幸せホルモンセロトニンの低下によるもの(イライラ、抑うつ、睡眠の質低下)
腸の免疫細胞の働きが弱まる(感染症、アレルギー症状)
腸粘膜が傷付くことで毒素が血中に回り、全身への症状出現

便秘、下痢、腰痛、肥満、糖尿病、高血圧、動脈硬化、肌荒れ、体臭、むくみ、慢性疲労症候群、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、大腸癌なども挙げられます。

全身や自律神経にも影響を及ぼす腸の問題ですが、子宮では何が起こるのでしょうか？

腸活は妊活にどう影響する？

実は子宮内フローラ(細菌叢)は腸内フローラ(細菌叢)の影響を強く受けています。
この子宮内フローラは妊娠や妊娠継続率、出産率に大きく影響を及ぼします。
またウイルスや細菌から子宮を守る働きを持っているため、細菌性膣炎などの感染症や慢性子宮内膜炎を予防することができます。
もしも免疫システムが過剰に働いた場合は、受精卵を排除してしまいます。

スペインのIVI Valenciaクリニックでは、体外受精を行っている患者35名を対象に比較したところ、
子宮内フローラ正常群では、
妊娠率70.6% 妊娠継続率58.8% 生児獲得率58.8%

子宮内フローラ異常群では、
妊娠率33.3% 妊娠継続率13.3% 生児獲得率6.7%

といった結果が挙げられました。
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00021/103100004/

ここまでの差が出るのは、それだけ子宮内フローラが重要ということですね。
また腸活により自律神経バランスを整えることで、pickup障害の改善、子宮内膜や卵巣への血流の増加、免疫の正常化、女性器を支配する副交感神経への刺激、ホルモン分泌中枢である視床下部の働きの正常化によって、妊活をサポートすることができます。
以上が腸活と妊活の関係になります。

繰り返しになりますが、お食事に加えて、日頃の生活習慣、お身体の熱・冷え・水分のバランスを整えることが重要です。
習慣を突然変えることは容易ではないと思いますので、まずは簡単なものから1つ2つと始めてみましょう！

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