子宮卵管造影検査

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不妊の基本検査である卵管造影検査について

卵管造影検査をインターネットなどで検索すると痛みを伴う検査としてよく出ていますが本当にそうなのでしょうか? また、卵管造影のメリットやデメリットはなにか?

子宮卵管造影とは、子宮口からカテーテルを入れた後、油性の造影剤か水性の造影剤を注入して、その状態をレントゲン撮影します。白く映し出される造影剤が子宮から卵管を通り腹腔内に流れる様子で、子宮の形や卵管内の様子が確認でき、卵管の詰まり具合や閉塞している位置までわかります。癒着についてはわかることもありますが、癒着の程度や場所などの細かいことはわかりません。通常、麻酔なしで検査が行われますが、検査前に筋痙攣による卵管の機能的閉塞を予防するために、鎮痙攣剤(ブスコパン)が投与されることがあります。

卵管造影検査

参考画像はこちら

検査の時期

子宮卵管造影検査は、月経終了後から排卵までの数日の間に行います。
排卵後に受精していることに気付かずにレントゲン写真を撮ってしまうと、被爆してしまいます。大人にとっては問題のないレントゲンの放射線量も受精卵にとっては悪影響がゼロとはいえません。そのため検査終了まで必ず避妊が必要になります。

子宮卵管造影でわかる病気

卵管閉塞・粘膜下子宮筋腫・子宮内膜ポリープ・子宮内癒着・子宮奇形などがわかります。

卵管造影検査の流れ

※病院やクリニックによって違いはあります
・検査は通常2日間
・Ⅹ線装置の台の上で、仰向けの状態で行う。
・膣を消毒後、カニューレまたはバルーンカテーテルを挿入して、レントゲンをみながら造影剤
が注入されます
・レントゲン写真を撮って1日目が終了
・2日目はレントゲンを撮影するだけで終了
検査時間は全部で30分から1時間ほどで、造影剤の注入は2~3分程度です。

子宮卵管造影剤

子宮卵管造影剤には、水溶性造影剤と油性造影剤の2種類あります。

水溶性造影剤

メリット
・検査後すぐに吸収されるので造影剤がのこらない
・一日で検査が終了する
・卵管の通過性、周囲癒着などの診断精度が高い

デメリット
・すぐに吸収されるので、少し痛みを伴う
・費用が高い
・検査後の妊娠が油性造影剤よりやや低い

油性造影剤

メリット
・吸収が遅いので検査時の痛みが軽い
・費用が安い
・検査後に妊娠する人がいる

デメリット
・造影剤がお腹の中に長期間残ってします
・翌日もレントゲン撮影が必要
・水溶性に比べて、卵管通過性の診断率がやや劣る

疼痛
卵管に異常がない限り痛くない事が多いですが、狭窄や閉塞には痛みがひどくなることがあります。あとは、行う医師の技量が関係します。最初固定のためにバルーンを入れますがその際に少量の水を入れることが痛みの軽減になります。また、造影剤(通常は1~1.5ml)をゆっくり少量づついれることが大切です。生理痛程度の痛みであれば大丈夫ですが、声に出せないほどつらいようであればお医者様や看護師に声をかけましょう。
また、卵管造影検査後に出血を伴うことがありますが、これは器具を入れた際、子宮内膜を少し傷つけてしまったことが原因と考えられます。ほとんどは数日で出血が止まりますが出血が続くようであれば病院に相談しましょう。

卵管造影検査の副作用

被爆
レントゲン写真一枚(被爆量0.4SV)とるのと比較し、連続で透視しながらレントゲン写真を2~3枚撮影します。卵巣への被爆量は大体2.1mSV位とのことです。
腹膜炎
十分に膣内を消毒し検査後も抗生剤を内服すれば腹膜炎の発生はほぼ抑えることができますが、事前にクラミジア検査が抜けていたり、抗生剤を内服し忘れたりすると骨盤腹膜炎のリスクが出てきます。

アレルギー・ヨード過敏症
まれなケースですが造影剤によるアレルギーは注意が必要です。アナフィラキシーショックと言って生命にかかわることもあります。

血栓症
油性造影剤が脈管に侵入して血栓を起こす可能性があります。そのため、脈管侵入が認められたらすぐに検査を中止する必要があります。

甲状腺への影響
卵管さいから腹腔内へこぼれた造影剤は油性のため半年近く腹腔内に残存します。造影剤は主成分がヨードのため、一時的に体内のヨード濃度を高めます。ヨードは甲状腺ホルモンの材料であるとともに、多すぎるとWolff-Chaikoff効果のため、甲状腺ホルモンの産生を押さえ、一時的な甲状腺機能低下症を引き起こしてしまいます。

子宮卵管造影後はゴールデンタイム?
検査後、約半年間妊娠しやすいといわれています。
造影剤によって卵管が開通し卵子が通りやすくなり、卵管の癒着が解消されることで、卵管の絨毛の動きもよくなり妊娠しやすくなります。

その他の卵管検査

・卵管通気法
炭酸ガスを注入して圧力の変化を記録して閉塞があるかどうか確認します。
閉塞があるかどうかはわかりますが、左右どちらが詰まっているかどうかはわかりません。

卵管通水法
生理食塩水または水性造影剤(レボビスト)を用いて通水を確認します。

超音波子宮卵管造影検査
子宮卵管造影ではX線を使用しますが、超音波子宮卵管造影検査は水溶性造影剤(レボビスト)
などを用いて卵管の通水を確認します。

メリット
・レントゲンの被爆がない。
・喘息やヨードアレルギーや甲状腺患者でも行える。

デメリット
・卵管の通過性はわかるが、走行経路・水腫等まではわからない。
・レントゲン画像のように画面に出てくるわけでなく、医師が超音波の画像で造影剤を
みいなければならないので、造影剤の写し方の習熟が必要。

腹腔鏡下色素通水法
腹腔鏡下で色素(インジカルミン)を通水して卵管の通りを確認する。腹腔鏡下で行うため診断能力が高い。

卵管鏡
卵管に直接ファイバースコープを挿入して病態の観察・治療を行う検査。

卵管造影検査費用
公立病院か私立病院か不妊治療専門病院かなど、病院よって違いがありますが、1回だいたい¥5000~¥15000くらいに収まることがほとんどです。
助成金を出している自治体もあるので検査を受ける前にお住いの市区町村の役所に問い合わせてください。
子宮卵管造影と通水検査の違いについてはこちらを参考にしてください

参考文献
・はじめての妊活スタートブック赤ちゃんがほしいときに読む本
監修:日本赤十字社医療センター産婦人科宮内彰人・笠井靖子
・病気がみえる 婦人科
編集:医療情報科学研究所 発行者:岡庭豊
・両角レディースクリニックブログ
・日本産科婦人科学会

子宮卵管造影は治療の側面もあるので、検査が必要なのかどうか、どういった方法で行うかなどよく医師と相談して検査を受けられることをおすすめします。

鍼灸師 安田 直子

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