妊活とストレスホルモンについて(2)

妊活治療は新たな生命を迎えるための希望に満ちた治療である一方で、男女ともに身体的・精神的ストレスに晒される機会も多いのではないかと思います。それが妊活に悪影響を及ぼす可能性があるという報告は医学の現場からも一部言われ始めています。

ストレスが人間の身体に負荷されると、“ストレスホルモン”が脳から分泌されます。

以前(2020/3/1)有名なストレスホルモンとして《コルチゾール》について触れましたが今回は《プロラクチン》についてお話したいと思います。プロラクチンも前回のコルチゾールと同様に、妊活において大切なホルモンです。

プロラクチンとは脳下垂体の前葉から分泌されるホルモンです。本来、プロラクチンのはたらきとは女性の場合は主に2つあります。分娩後に母乳吸引刺激により乳汁産生を増加させるはたらき(つまり赤ちゃんに与える母乳を作ること)と、出産後のある一定期間は月経が来ないよう卵巣機能を抑制し産褥性無月経を誘発させるはたらきです。

(学生時代に生理学の先生から、産後直後は生まれてきた赤ちゃんに集中してしっかりと愛情を注げるようにするために一定期間はプロラクチン値を高くして月経がこないよう人間の体はできていると習い、なんだか感動した記憶があります 。

機序としては、通常は脳の視床下部から分泌されるドパミンという“プロラクチンを抑制するホルモン”がその下にある脳下垂体前葉に働きかけプロラクチンの量が多くならないよう調整し分泌しています。しかし、何らかの異常によりプロラクチンを抑制するホルモンであるドパミンの分泌が少ないと抑制が効かずプロラクチン値が高くなってしまうのです。

何らかの異常とは何でしょうか?

例えば、強いストレスや脳下垂体にできた良性腫瘍、抗精神病薬や胃潰瘍の治療薬による副作用などがあります。原因不明の場合もあり、プロラクチン異常とは一般的に低値よりも高値になることが多いようです。

《高プロラクチン血症》は不妊の原因の1つでもあります。先に述べた出産後の一定期間は卵巣機能を抑制し産褥性無月経にするためにプロラクチン値が高く保つという状態が出産前の妊娠可能時期に起こってしまい、月経や排卵が起こりづらくなる、生理周期が乱れる、着床や妊娠の継続を維持する黄体ホルモンのはたらきが鈍化し黄体機能不全となり不妊となってしまうのです。

高プロラクチン血症は治療が可能です!

基本的には薬物療法が多く、ドパミンの分泌を増やす働きがあるドパミン作動薬の錠剤が処方されます。薬品名でいうと《カバサール》《テルロン》《パーロデル》等です。脳下垂体腫瘍のサイズが大きい場合、脳外科手術で腫瘍を除去する治療法もあります。

プロラクチン値は血液検査で簡単に分かるので、該当する症状があったり気になる方は一度、婦人科で検査してみるのも良いかもしれません。

※2020/3/1ストレスホルモン《コルチゾール》の記事はこちら↓
妊活とストレスホルモンについて(1)

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