【Q&A】成熟卵がたくさんとれても胚盤胞まで進まない原因はなんですか?

成熟卵がたくさんとれても胚盤胞まで進まない原因はなんですか?
成熟卵がたくさんとれても胚盤胞まで進まない原因はなんですか?

原因については様々ですが、主に、卵子側に原因があることが多いです。
主な原因は卵巣への血流不足が長期間続いたことに由来するのではないでしょうか?

卵子は290日かけて成熟卵まで成長するといわれています。図の真ん中にATRESIAということがば書いてありますが、これは閉鎖卵胞という意味で、成長し始めても、一定数は継続して成長しないとうことになります。
毎月約1000個卵子が消費されるといわれていますので、例えばClass1で、1,000個成長し始めていたとしたら、次のClass2に進めるのは840個、24%は閉鎖してしまいます。Class8まで、閉鎖する数を計算してみると、1000個あった卵は最終的には15.41個なります。卵子の中で一番タイミングのいい卵子1個が排卵されますが、排卵促進剤を使用すると、採卵する数も増えます。採卵できる基準としてはAMH(卵巣予備機能とも表現されますが)の3倍成熟卵をとってくるのが目標です。例えばAMHが3の人であれば、採卵目標は9個となります。できるだけ多く取ってくるのが世界基準です。

成熟卵がたくさんとれても胚盤胞まで進まない

画像出典「 (Gougeon A: Dynamics of follicular growth in the human: A model from preliminary results. Hum Reprod 1:81, 1986. Reproduced with permission from Oxford University Press.)」

さて、胚盤胞まで到達しない主な原因は推測ではありますが、実は、実際にFSHという下垂体から分泌されるホルモンに依存して卵子が成長し始めるのは排卵から90日まえからなのです。卵子は血流を通じて卵子が受精した際に分割に必要な栄養を少しづつ蓄積しているのではないかと思っております。それは排卵する90日ぐらい前から積極的に蓄積されはじめているのではないかと思います。90日前というと、上記の画像ではClass1に分類され、卵子の大きさ0.2mm にも達しません。それが排卵するころには20mm(約100倍)まで成長するわけです。卵子が精子より何十倍もの大きさを保っているのは、着床するまで分割を繰り返するためのエネルギー、タンパク質などの蓄積を行っいるのです。また、分割する際、紡錘体という細胞分裂の装置のようなものがあるのですが、エネルギーを必要とします。このエネルギーを作っているのがミトコンドリアです。

ミトコンドリアに異常があるとエネルギーがうまく作れず、紡錘体がちゃんと機能せず、染色体の数の異常がおこりやすくなります。実際に加齢卵子ではエネルギーの量自体が少なく、ミトコンドリアのDNAに変異が多くなり、その数自体も少なくなるといった報告があります。こういった現象に起因して加齢卵子では染色体異常が上昇し、妊娠率が低下してしまうのではないかといわれています。

ではミトコンドリアの異常やエネルギーの不足はどうしたら改善できるのでしょうか?

ようは、卵子の中に元気なミトコンドリアを増やしてエネルギーをたくさん作れるようにしてしまえばいいということになります。簡単に実践できる方法としては適度なカロリー制限が挙げられます。仕組みは「オートファジー」といって、細胞の中で不要になった細胞(壊れたり、不健康になった細胞)を、自らの細胞の力で分解し、良質な細胞に作り変える仕組みのことをいいます。実はミトコンドリアは細胞をハングリーにすると増え、細胞の中には細胞内の摂食中枢を担当するようなタンパク質群があり、これらが活性化するとミトコンドリアを新規合成させるタンパク質が増えるということが報告されています。また加齢したマウスを用いた実験ではカロリー制限を施したマウスでは卵子のエネルギー量や染色体異常が若いマウスと変わらなかったことが報告されています。
Biochim Biophys Acta. 2015 Nov; 1847(11): 1434–1447.

実は、私たちは上記のGougeon氏の図の存在を発見するまで、なぜ3か月位たつと妊娠症例が増えるのかはっきりとした理由が分からないでいました。なぜ?と常々考えを巡らせていたのですが、まだ0.2mm で卵子の周りにまだ顆粒膜細胞に囲わていない段階から鍼灸およびレーザーによって血流が改善、血管拡張を促進できれば、胚盤胞に到達する確率も増え、その結果、妊娠症例もふえたのではないかと考えたのです。

ちなみに、卵巣への血流供給は主に交感神経がつかさどってます。精巣も一緒です。ですから、常にストレスにさらされていると、卵巣や精巣への血流供給が抑制され、その結果、受精はするのだけれども、胚盤胞まで進まないということが起こるのだと思います。

 

執筆者紹介

アキュラ鍼灸院院長 徐 大兼(じょう たいけん)
院長 徐 大兼

プロフィール

アキュラ鍼灸院院長 徐 大兼(じょう たいけん)

妊活は、時間との闘いでもあります。その大切な時間を一秒たりとも無駄にしたくないと私たちは考えています。妊娠する能力を高め、より早く結果を出すことをお手伝いすることが私たちのミッションです。

不妊鍼灸でお腹の凝りをほぐし、子宮・卵巣本来の力を引き出します。また、身体の不調と自律神経を整え、卵巣への血流を促進し、卵巣機能改善サポートを行います。

不妊治療中の不安をお聞きしながら、「妊娠しやすい身体」になるため、全力でサポートします。

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