卵巣予備能低下(Diminished Ovarian Reserve) に鍼治療は効果がある?

最近、卵巣予備能低下(DOR)に対する鍼治療の効果を検証したランダム化比較試験が発表されました。
この研究では、鍼治療が卵巣の反応性(卵胞数)にどのような影響を与えるのかが調べられています。

Wang X, Du P, Yang L, et al.
Effect of Acupuncture for Diminished Ovarian Reserve: A Randomized Sham-Controlled Trial.
International Journal of Women’s Health. 2026;18:580821.

妊活中の方にとって、とても興味深い研究ですので、わかりやすく解説します。


卵巣予備能低下(DOR)とは

卵巣予備能とは

卵巣に残っている卵子の数の目安

を示す概念です。

一般的に次のような状態を指します。

  • AMHが低い
  • AFC(胞状卵胞数)が少ない
    (生理3日目の経腟超音波でみた卵の数)
  • FSHが高め

DORは30代半ばから増え、
40歳では50%以上にみられるとも言われています。


研究の方法

対象
18〜40歳の卵巣予備能低下の女性

120名

  • 鍼治療グループ
  • 偽鍼(浅く刺すだけ)

に分けて比較しました。

治療は

週3回 × 12週間(合計36回)

行われました。


研究結果

目次

卵胞数(AFC)は鍼で有意に増加

卵巣予備能の重要な指標である

AFC(胞状卵胞数)

鍼治療で有意に増加しました。

12週後

鍼治療偽鍼
AFC増加約+2個ほぼ変化なし

つまり

卵巣の反応性が改善する可能性

が示されました。


AMHは上がるの?

AMHは

  • 鍼治療でも
  • 偽鍼でも

やや上昇しましたが

グループ間の差はありませんでした。

つまり

AMH改善の証拠はまだ十分ではない

という結論です。


鍼はなぜ卵巣に影響するのか

研究では、鍼治療が次のような作用を持つ可能性が指摘されています。

①視床下部-下垂体-卵巣軸(HPO軸)の調整

ホルモンバランスを整える働き

②卵巣の血流改善

卵巣の環境改善

③酸化ストレスの低下

卵胞のダメージを減らす

④卵胞のアポトーシス抑制

卵胞の消失を抑える可能性

また今回の研究では

腰仙部(仙骨神経)のツボ刺激

が重要視されています。


副作用

重い副作用はありませんでした。

軽い副作用として

  • 皮下出血
  • 鍼の痛み

が少数報告されています。


この研究のポイント

今回の研究から言えることは

✔ 鍼治療は
卵胞数(AFC)を増やす可能性がある

ただし

  • AMH改善の証拠は弱い
  • 妊娠率は調べていない

ため

今後さらに研究が必要です。


当院の考え

妊娠には

  • 卵子の質
  • 卵巣の血流
  • ホルモン環境
  • 自律神経
  • 炎症
  • ミトコンドリア機能

など

全身の状態

が関係しています。

鍼治療は

  • 自律神経
  • 血流
  • 炎症

などに働きかけ

体の土台を整える治療

と言えます。

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