今回は不育症についてお話させて頂きます。
不育症とは?
妊娠してもおなかの赤ちゃんが育たずに、流産や死産を繰り返してしまう状態。
回数による決まりはありませんが、二回以上の流産または死産があれば「不育症」と扱われます。
原因は?
大きく分けると5つです。
1:凝固系の異常(血栓性素因)
主に抗リン脂質1抗体症候群とその他の血栓性素因
2:染色体の異常
夫婦染色体異常と胎児染色体異常(不育症で一番多い原因です)
3:子宮の異常
子宮の形の異常
4:内分泌系の異常
甲状腺機能異常、糖尿病など
5:原因不明
ストレスなど
少し詳しく説明すると
1:凝固系異常
→血液が固まって胎盤に血栓ができやすくなり、胎児に栄養が運ばれず流産や死産になってしまう
2:染色体異常
→ご夫婦の染色体という遺伝子に異常があったり、胎児の染色体に偶発的に起こる突然変異による遺伝子異常で流産や死産になってしまう
3:子宮の異常
→子宮の形に異常があると胎児に栄養が上手に運ばれずに流産になってしまう
4:内分泌系異常
→まだはっきりと因果関係がわかってはいませんが、甲状腺(特に機能低下症)や糖尿病などのホルモン異常。体温維持ができなかったり、体が冷えたりすることで流産になってしまう
5:原因不明
→心理的ストレスにより血管が収縮し血流を悪くしてしまったり、ホルモン分泌異常などで体質変化につながり結果的に流産になってしまう
検査は?
1・2・4においては、血液検査。
3は子宮卵管造影検査。
治療は?
凝固系の異常➡血栓防止のための低用量アスピリン、ヘパリンによる薬物療法。
染色体異常➡残念ながら治療する方法はないですが、流産を回避するため着床前診断の選択ができます。ただし、ART(体外受精、顕微授精)を前提としています。
子宮の異常➡基本的に治療は不要ですが流産を繰り返す中隔子宮では形成手術も考慮されます。
内分泌系の異常➡内科専門医の診療を受け、薬物療法をしながら、妊娠後も引き続き治療を継続。
ストレス(原因不明)➡我慢したり、一人でかかえこまず、多様な考え方がある!と考え方自体をみつめなおしてみましょう。その際には、
不妊カウンセラーなどに話を聞いてもらうのも良いと思います。
不育症の治療の考え方は、「妊娠前から流産を予防する」です。危険因子を見つけ出し、予防する「予防医療」が基本です。
予防医療の一つとしてぜひ鍼灸を当院では不妊カウンセラーが在籍しておりますのでご心配なことをお尋ねください。
そして、お身体だけではなく心の健康にもお手伝いさせていただきます。
鍼灸師 藤塚 禅子
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