養生の道と陰陽の食事

東洋医学

先日【東洋医学的な食事療法(食養)】という講演会に参加してきました。

現代人の体は加工食品などの摂取や運動不足により体に冷えが入り血液の流れが悪くなり体調がおかしくなる方が増えています。このブログからそんな食生活をみなおすきっかけにしていただければ幸いです

2000年も前の書物【素問】に、ある会話が記載されています。
「昔の人は皆百歳になるまで生き、しかも行動は衰えなかったという。ところが現在の人は、五十歳になるやならずで動作が衰えてしまう。これは時代環境が異なっているためなのか、それとも人々が養生の道に外れているためなのか。」

「昔の人は養生の道をわきまえ、陰陽にのっとり飲食には節度があった。労働と休息にも一定の規律があり、みだりに働くことはしなかった。それゆえ肉体と精神はとても穏やかで盛んであり、天命をまっとうできた。現在の人は酒を水のように飲み、異常なことを平常として生活し、色欲のおもむくままにして精気を消耗する。一時の快さを貪り、養生に反して享楽している。労働と休息とに一定の規律がない。このようなことだから五十歳になるやならずで衰えてしまうのです。」

どうですか?
2000年前にこんな会話がされているなんて! と思いませんか? 加工食品もほとんど口にしていないし農作業や厳しい家事労働で肉体的に鍛えていた時代でさえこのような会話が交わされていたということは、いかに養生の道をわきまえ、陰陽にそった節度ある食事や一定の規律に沿った日常生活が大切かわかると思います真剣

養生とは体力を増強し、髪や肌を健康にし精神を整える。知能の発達を助け、老化防止など身体と心の健康増強を意味します

目次

養生目的の食事とは

東洋医学の言葉に「三因制宜(サンインセンギ)」という言葉があります、これは「因時(季節)・因地(土地柄)・因人(個体差)」という意味合いで、季節にあわせてその土地でとれたものを体の大きさや体質に合わせて食事することです。食事と食事の間は一定の間隔をあけ量は多すぎず少なすぎずがよいでしょう。また、常食はその土地でとれた旬の食材を選ぶようにするとよいでしょう。

陰陽を分けて考えると

陽性・温熱・ナトリウム・保持・動物性・根菜類・下降性・酸性・収縮・小
陰性・涼寒・カリウム・排泄・植物性・葉菜・上昇性・アルカリ性・拡張・大

植物を陰陽で分けて考えると

色→   陽性:明るい 陰性:暗い
形→   陽性:丸い・狭い 陰性:細い・広がっている
旬→   陽性:秋冬が旬 陰性:春夏が旬
産地→  陽性:寒帯地帯 陰性:熱帯地帯
水分量→ 陽性:少ない 陰性:多い
酸とアルカリ→ 陽性:白砂糖・肉類 陰性:海藻類・野菜・人間(弱アルカリ)

陰陽・中庸にのっとった食事とは

陽性は温熱性をもったもので主な働きとしては身体を温め働きを活発にさせることにより体に入っている冷えを発散させて取り除きます。そして気や血の巡りをよくしてくれます。
食材としては、胡椒・山椒・ショウガ・ネギなどの香辛料や羊肉や鶏肉や牛肉などがあります。

陰性は寒涼性をもったもので主な働きは体にこもった熱を取り除きのぼせやイライラを鎮めます。また便通をよくさせ解毒作用があります。
食材としては夏にとれる果物や野菜や貝・海藻類が多く、小麦・緑豆などがあります。

中庸はとくに性質に偏りがないため体質を気にせずに摂取できるもので主な特徴には体に不足している栄養を補い消化吸収がしやすいもので体調や体質、世代など幅広く使うことができるものです。食材には米・トウモロコシ・大豆・黒豆・ジャガイモ・シイタケ・ニンジン・キャベツ・ナツメ・スッポン・山芋・ハチミツなどです。

東洋医学には食材を味や働きによって分類するものに「五味」があります。五味は辛味・甘味(淡味)・酸味(渋味)・苦味・鹹味の5種類で味覚として感じる味によってそれぞれが持つ「働き」に分類されます。

辛味は食べて辛いと感じる味で、体を温めて血行をよくし発汗を促進させ気の巡りをよくし、風邪の時などによく食べます。食材にはネギ・ショウガ・トウガラシ・八角・シナモンなどがあります。

甘味(淡味)は食べて甘いと感じる味で滋養作用があり体力を増進し疲れがとれ体に潤いを与えます。食材には米・小麦・大豆・ジャガイモ・クリ・ニンジンなどがあり、淡味には冬瓜や白キクラゲなど利尿作用を促し浮腫みの解消にも効果があります。

酸味は食べて酸っぱいと感じる味で、慢性の汗や咳・下痢・おりもの・精液漏れなどを止める働きがあります。食材にはレモン・梅・ミカン・アンズ・トマトなどがあります。

苦味は食べて苦いと感じる味で、体の上のほうに上った熱を取り除きのぼせやイライラを鎮め体の余分な水分を排出します。食材には、ニガウリ・ゴボウ・ハスの葉・銀杏・ヨモギ・杏仁・菊花などがあります。

鹹味は食べて塩っ辛いと感じる味で、気持ちや熱などを鎮静化させ便秘に効果的です。食材には塩・醤油・昆布・イカ・牡蠣・ナマコ・クラゲなどがあります。

上記の内容を参考に、暑さが厳しい夏本番に効く食材は何かというと、夏バテは胃腸の働きが弱まり体に熱や暑さがこもります。そして夏の暑さは血液循環を高め心臓もパクパク状態で、何かにつけイライラしたり頭に血が上りやすくなっています。

そんな時は体を冷まし、精気を養い利尿作用を促し、イライラを解消する食材が必要ですね!
例えば、体を冷やす枝豆、精気を作ってくれるモロヘイヤや納豆や山芋などのネバネバ系、スイカやトマトやキュウリなどで体の水分補給をするとよいでしょう。

季節の食材を選ぶことで季節感を食卓に呼び寄せ、家族や友人と会話を楽しむことでゆっくり食事することができ消化を助けます。健康で長生きするためにも一度食事のあり方をみなおしてみてはいかがでしょうか。

鍼灸師 安田 直子

東洋医学

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