画像:不妊診療のための卵子学 鈴木秋悦編 医歯薬出版より
院長の徐です。
よく患者様よりいつ着床するのですか、と聞かれますので、今日は医学的な見地を述べさせていただきます。子宮内膜が胚を受け入れるメカニズムの詳細については不明な点がまだ多いですが、卵子はまず精子と受精し、約120時間かけて胚盤胞へと成長し、着床の準備に入ります。
胚盤胞とは受精卵が”殻”を破り、受精卵自身ではそれ以上成長できない、成長するには外から栄養補給をしなければ存続し得ない状況です。ですから、命を継続するには、できるかぎり早く着床を成し遂げ、お母さんのカラダから栄養補給をしなければなりません。
胚盤胞は通常LHサージ後7日~11日に着床すると考えられています。また、子宮内膜の受け入れ期間も限られており、この限定着床期間をimplantation window と言ます。子宮内膜はエストロゲン、プロゲステロンに反応し、子宮内膜上皮の細胞同士の結合が弱くなり、pinopodesと言う突出物がみられるようになるreceive phase に入ります。着床はこのreceive phase のみ可能とされています。
添付しました左の写真は細胞間の谷が深く、pinopode の様子を見ることができます。子宮内膜も7mm以上あり、着床に適しています。右の写真は内膜が薄く、pinopode もまばらです。
子宮内膜の血流量は内膜の質に直接に関与します。鍼灸では「おけつ」という概念がありますが、それはまさしく血流量に関わる東洋医学的な表現です。
「おけつ」をなくすには生活習慣の改善をはじめ、ざまざまな方法がありますが、私たちの鍼灸院では鍼灸を通じて、できるかりぎ短期間で理想的な内膜環境を整えることを目指しています。
所で、受精卵を移植する日程の目安ですが、できるかぎり自然に近い形で移植するのが一般です。例えば、胚盤胞移植であれば、受精してから120時間経っているので、排卵から約120時間後に移植をします。3日目胚であれば、排卵から3日目を目安に移植します。
ホルモン補充周期の場合は黄体ホルモンの補充を開始する日を1日目と計算して移植します。なので、5日目胚盤胞移植であれば、黄体補充を開始した5日目に移植することになります。
鍼灸師でこれから生殖医療に携わっていきたいという人には是非この本をお勧めします。
アキュラ鍼灸院 院長 徐 大兼
執筆者紹介
アキュラ鍼灸院院長 徐 大兼(じょう たいけん)
妊活は、時間との闘いでもあります。その大切な時間を一秒たりとも無駄にしたくないと私たちは考えています。妊娠する能力を高め、より早く結果を出すことをお手伝いすることが私たちのミッションです。
不妊鍼灸でお腹の凝りをほぐし、子宮・卵巣本来の力を引き出します。また、身体の不調と自律神経を整え、卵巣への血流を促進し、卵巣機能改善サポートを行います。
不妊治療中の不安をお聞きしながら、「妊娠しやすい身体」になるため、全力でサポートします。
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