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卵子提供の現状

生殖補助医療は日々進歩しています。

その一つ、国内で急増しているのが卵子提供です。
最近ニュースになりましたので聞かれた方も多いのではないでしょうか。

その現状について今日はお話しします。

⚫︎国内初!第三者間の卵子提供⚫︎

まずは卵子提供に関する最新のトピックです。
先月27日国内初、第三者からの提供卵子による体外受精が行われたと発表されました。
病気で卵子のない不妊女性に対して第三者の無償ボランティアから卵子提供をあっせんするNPO法人卵子提供登録支援団体(OD-NET)は2人の女性から採卵し、2組の夫婦にその卵子を提供、患者の夫の精子と体外受精させて受精卵を作製したとしています。

受精卵は現在凍結中、年内には患者の子宮に移植予定です。

⚫︎卵子提供、国内の経緯⚫︎

国内初の第三者卵子提供。画期的なニュースではありますが上記団体はあくまでターナー症候群、早期閉経など自分の力で排卵できない女性を対象にしています。

簡単に国内の卵子提供の「歴史」をまとめますと、

1983年 日本産婦人科学会は「体外受精は婚姻関係にある夫婦のみに認められる」とし、現在に至るまでこれが公式見解とされています。

1998年 長野県諏訪マタニティークリニックにて姉妹間卵子提供による体外受精を実施、出産に至っています。(これに対し同学会は担当医師を除名、その後復籍)

2003年5月 厚生科学審議会生殖補助医療による法制化。条件付きで実施容認。

2012年4月までに国内では168組のカップルに対して卵子提供による体外受精を実施、73件の出産があり、81人が生まれています。

このように国内では始まったばかりの上縛りも多く、まだまだ件数の少ない卵子提供。

一方で冒頭に書きましたように卵子提供による出産は急増しています。

なぜでしょうか。

それは、日本人女性が国外に卵子を求めて渡るケースが増えているからです。

2012年、厚生省研究班は大学病院や総合病院に卵子提供に関するアンケートを実施。結果、卵子提供を受けた出産の割合が3年前の約3倍に急増していることがわかりました。

卵子提供を受けた国・地域について回答があったのは97件。その内訳は米国65件、タイ18件、日本7件、韓国4件、台湾、マレーシア、ロシアがそれぞれ1件でした。

現在、のべ2000人の女性が海外に卵子提供を受けるため渡航しているといわれ、年間300ー400人の赤ちゃんが卵子提供によって生まれていると推測されます。

⚫︎海外での卵子提供事情⚫︎

2010年5月に野田聖子国会議員が渡米、卵子提供を受けています。アメリカでこの技術は40年前から行われています。7割の州で卵子提供は認められ、法律も整備されています。
卵子提供の前には50項目以上にわたる詳細な契約を交わすようです。日本人向けのエージェントもあり、アジア人の卵子を専門に扱う業者もあります。
様々なケースによりますが、一度あたりの費用は500万円~。
内訳は、アメリカ国内での体外受精に約150~200万円、ドナーへの謝礼金約50万円、その他夫婦の渡航費、滞在費、エージェント費用、契約や文書を作るための弁護士費用、必要に応じたドナーの治療費薬代などです。

アジア、例えばタイですと費用はアメリカの4分の1程度で済むようです。

⚫︎卵子提供による妊娠のリスク

国内で卵子提供による妊娠出産が急増するなか、その出産にはリスクがあり、特別な対応が必要であることが分かってきました。

2013年のデータによればその7割近くに妊娠高血圧症候群、切迫早産、前置胎盤などの健康影響がありました。早産数も自然妊娠と比較して1.5倍です。

その理由として、一つは出産時平均が45.2歳と高齢出産である事が挙げられます。国外で卵子提供に踏み切るまで、多くの方が自分で不妊治療に長年取り組んでいるケースが多いのです。
また卵子提供妊娠だと卵子も精子も他人のもの。自らの卵子と夫の精子による妊娠と比較して拒絶反応、免疫反応が起き易いではないかと指摘されています。

卵子提供による妊娠出産には、受け入れる病院にも特別な体制が必要と言えそうです。

また、法的な問題もあります。
自民党が今年6月「産んだ女性が母」という民法の特例法案の骨子を承認しました。現在は子供の福祉の観点で協議中です。この流れでいけば代理母と違って卵子提供の場合産んだ女性が法的には母となります。とはいえ代理出産、卵子提供など、最新生殖医療にまつわる親子関係のための規定は未だ整備中、遅々として進まぬ印象です。

日本国内ですと卵子提供はまだ珍しいうえ、元々の「家族」に対する考え方もあり、生まれた子供に対して告知をするかどうか悩む方も多いようです。

以上、卵子提供の現状でした。

日本では卵子提供が急増していますが、まだまだ法整備、医療対応が追いついていません。40年前から行われているアメリカでも詳細な契約を取り交わしていてなお、訴訟になるケースも絶えないようです。

しかしこのテーマを追いかけていると、卵子提供は長年不妊に悩む夫婦にとっては一つの選択肢になりつつあるように感じました。

今回、印象的だったことが一つあります。
卵子提供に踏み切る前に多くのご夫婦は一度は養子縁組を考えるようです。しかし、斡旋団体には両親の年齢制限など規定があり、制度の利用ができないケースが多いこと。この件はまたいずれブログで記事にしたいと思っています。

様々な家族の形の中で生まれてくる赤ちゃんたち。その生みの母と父、育ての両親、自らの体に負担をかけながら卵子提供をするドナーの皆さん。

生殖医療の一端に関わるものとして、悩みながらも懸命に生きる皆さんの幸せを願ってやみません。

鍼灸師 村越麻紀子

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