胚盤胞移植について、数回に分けて載せていきます。
今回は胚の成長段階におけるグレードについてです。
まずは、受精卵からの胚の成長を追っていきます。
受精卵
前核期胚(受精後14~20時間後)
2細胞期胚
4細胞期胚(受精翌日)
8細胞期胚(受精後3日目ごろ)
桑実期胚(受精後4日目ごろ)
胚盤胞(受精後5日目ごろ)
初期の胚の発育が更に進行すると、桑実胚(そうじつはい)から胚盤胞(はいばんほう)へと発育します。
胚盤胞になると、発育の状態によって①から⑥段階で形態を評価します。
段階の⑥が、桑実胚の段階からくらべてより発育が進んでいると評価します。
通常の発育ですと、採卵から4日目に桑実胚となり、5日目で段階①以上に発育して6日目で段階③以上に発育するのが理想的といわれています。
さらに胚盤胞では、発育状態の他に細胞の密集度についても同時に評価します。 細胞数が多い場合は「A」、ある程度存在する場合は「B」、細胞数が少ない場合は 「C」と評価します。
3AAなどの表示で表されます。
数字の後の一つ目のアルファベットは内細胞塊(赤ちゃんになる部分)の評価、二つ目のアルファベットは栄養外胚葉(胎盤になる部分)の評価です。
この評価は、細胞数の多い胚盤胞が良好とされています。
この評価別での妊娠確率が変わってくるとされています。
形態がAA、AB、BAの胚盤胞の妊娠率:50%前後
形態がBBの胚盤胞の妊娠率:約30%前後
形態がBCまたはCBの胚盤胞の妊娠率:25%前後
形態がCCの胚盤胞の妊娠率:5%前後
初期胚盤胞の妊娠率:20%前後
移植する胚盤胞の数
移植する際、1個と2個どちらを移植した方がいいのかと悩まれる方もいらっしゃると思います。
日本生殖医学会ではガイドラインが
『多胎妊娠のリスクが高い35歳未満の初回治療周期では、移植胚数を原則として1個に制限する。なお、良好胚盤胞を移植する場合は、必ず1胚移植とする。
前項に含まれない40歳未満の治療周期では、移植胚数を原則として2個以下とする。なお良好胚盤胞を移植する場合は、必ず2個以下とする。』
と定められています。
移植時期
通常、胚移植は採卵後2日目、または3日目に子宮に戻しますが、5日目まで培養を延長し胚盤胞まで育てて、これを子宮に戻す方法が胚盤胞移植です。
自然の妊娠では5日目の胚盤胞の段階で卵管から子宮に到達します。
子宮内膜は5日目頃には胚を受け入れて着床しやすい状態が整っています。このような自然妊娠に近い状態つまり、内膜の着床環境が整備された時期に胚を子宮に移植する方法を取る事で着床率が上がるといわれています。
胚盤胞まで育たない場合
胚盤胞まで育たなかった胚は染色体異常の頻度が高いという説や、8細胞期以後に胚自身の遺伝子が活性化されてその後の胚発育と生命能力を支配する様になるので胚の最終的な評価は胚盤胞の段階で行うことが正確な胚の良否の判定に役立つという説もありますので、胚盤胞まで育てて移植した方が着床率が高くなります。
病院などによっても基準のものが変わってくると思いますが、治療の参考にしていただけたらと思います。
鍼灸師 小澤
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