Zhang, X., Liu, J., Li, X. et al. Effects of moxibustion at points from the Conception, Governor, and Thoroughfare Vessels on hypothalamic-pituitary-ovary axis in rats with cold-induced blood stasis pattern. J. Acupunct. Tuina. Sci. 23, 218–230 (2025). https://doi.org/10.1007/s11726-025-1504-2
目的
温灸が寒冷誘発性瘀血証候(CIBSP)を改善するメカニズムを探り、任脈(Conception Vessel:CV)、督脈(Governor Vessel:GV)、衝脈(Thoroughfare Vessel:TV)と子宮との関連の生物学的基盤を明らかにすることを目的として、CIBSPモデルラットに対する穏やかな温灸刺激が視床下部-下垂体-卵巣軸(HPOA)に与える影響を調査した。
方法
48匹の雌性Sprague-Dawleyラットを無作為番号表法により、空白群、モデル群、任脈群(CV群)、督脈群(GV群)、衝脈群(TV群)、非経絡非経穴群(NMNP群)の6群に分け、各群8匹とした。空白群を除くすべてのラットに氷水浴およびアドレナリン注射を施し、CIBSPモデルを作成した。各介入群にはモデリング初日から温和な温灸を実施した。
CV群には気海(CV6)、関元(CV4)、中極(CV3)を、TV群には横骨(KI11)、大赫(KI12)、肓兪(KI16)を、GV群には腰陽関(GV3)、命門(GV4)、玄兪(GV5)を、NMNP群には非経絡・非経穴の3点を選択した。温灸は1回20分、1日1回、14日間連続で行った。
各群間でCIBSP症状スコアおよび子宮筋電図(EMG)を比較し、生殖器官の形態変化をHE染色で観察した。血清中の生殖ホルモンと神経伝達物質はELISA法で測定し、卵巣内のエストロゲン受容体(ER)、卵胞刺激ホルモン受容体(FSHR)、黄体形成ホルモン受容体(LHR)のmRNAおよびタンパク質発現はリアルタイムPCR法、免疫組織化学法、ウェスタンブロット法で評価した。
結果
空白群と比較して、モデル群ではCIBSP症状スコアおよび子宮筋電図値が有意に上昇し(P<0.05またはP<0.01)、卵胞数の減少、子宮内膜の菲薄化、組織構造の乱れが認められた。また、血清中の生殖ホルモン、6-keto-PGF1α、β-エンドルフィン(β-EP)のレベルが低下し、トロンボキサンB2(TXB2)、セロトニン(5-HT)、サブスタンスP(SP)は上昇、ER・FSHR・LHRのmRNAおよびタンパク質発現も低下した。
モデル群およびNMNP群と比較して、CV群・GV群・TV群の各経穴介入群ではCIBSPスコアと子宮筋電図値の有意な低下、卵胞数や内膜厚、腺の増加、生殖ホルモン・6-keto-PGF1α・β-EPの上昇、TXB2・5-HT・SPの低下、ならびにER・FSHR・LHRのmRNAおよびタンパク質発現の上昇が確認された(P<0.05またはP<0.01)。
結論
「一源三岐(CV、GV、TV)」に基づく経穴への温灸刺激は、CIBSPモデルラットの生殖神経内分泌機能を改善する効果を示し、この作用はHPOAの調節を介している可能性がある。これらの結果は、経穴-子宮相関の生物学的基盤がHPOA調節にあることを示唆する。
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