葉酸代謝に関わるMTHFR遺伝子の多型とメチレーション異常について

MTHFR(メチレンテトラヒドロ代謝葉酸還元酵素)遺伝子は、葉酸を活性型葉酸(5-MTHF)へ変換する過程に重要な役割を担っています。この遺伝子に多型(特にC677TおよびA1298C)が存在する場合、酵素活性が低下し、通常の葉酸から活性型葉酸への効率変換が著しく低下することが分かっています。

この代謝異常の結果として、DNAメチル化(メチレーション)経路に障害が起こることが知られています。

中でも、着床関連遺伝子の一つであるHOXA10は、子宮内膜の肥厚および受容能の形成に深く関わっており、メチル化の乱れによってその発現制御が行われることが報告されています。

このようなケースでは、活性型葉酸(5-MTHF)を直接補うことで、メチル化回路が改善され、HOXA10の正常な発現が促進され、子宮内膜環境の質が向上する可能性が示唆されます。

アメリカではNutrigenomics(遺伝子栄養学)の分野で目まぐるしい発展がみられます。

院長 徐 大兼

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