秋の土用の養生

東洋医学

秋の始まりは、長雨が続き、まるで梅雨に戻ったようでしたが、10月に入ってからは、爽やかな陽気で過ごしやすいですね。

突然ですが、みなさん「土用」という言葉を聞くと、何を連想しますか?
土用と言えば、「丑の日」「うなぎ」。季節は、「夏」を思い浮かべるのではないでしょうか?
しかし、土用は夏だけに限らず、実は一年に4回もあるんです。
次に訪れる土用は、秋の土用入りが10月20日、土用明けが11月6日。そして、11月7日の立春から、暦の上での冬が始まります。

今回、土用についてご紹介したのは、もうすぐ今年最後の秋の土用をむかえるにあたり、体調を崩しやすい季節の変わり目に、養生する事で、穏やかにお体の冬支度をして頂けたらという思いからです。

目次

そもそも土用とは?

土用 とは、 立春、立夏、立秋、立冬の前18日間を言います。
古来中国から伝わった陰陽五行説では、すべての事象を木・火・土・金・水の5つに分類して世界を考えます。五行説では春は「木気」夏は「火気」秋は「金気」冬は「水気」と割り当てていました。しかし、これでは五行説の重要な構成要素の「土気」がどこにも分類されないことになります。そこで、季節の変わり目である立春・立夏・立秋・立冬の前18日間を「土気」に分類し「土用」と呼ぶようになったようです。

土用の丑の日はうなぎ!のルーツ

その中でも、現在は、夏の土用の丑の日にうなぎを食べる行事が最も馴染み深いものですが、この習慣には面白い由来があります。

江戸時代、冬が旬のうなぎが夏場に売れない事を困っていたうなぎ屋が、エレキテルを発明したことで有名な学者、平賀源内に相談したところ、丑の日にちなんで、“う”から始まる食べ物を食べると夏負けしないという風習にちなんで、「本日、土用丑の日」という張り紙を店の前に張り出したことで大繁盛!

これがきっかけで、他のうなぎ屋もこぞってまねするようになり、 次第に「土用丑の日はうなぎの日」という風習が定着したと言われています。夏の土用の食養生は「う」のつくものまたは黒い食べ物で、うなぎ以外には梅干、瓜、うどん、馬肉(うま)、牛肉(うし)なども食べられていたそうです。

ちなみに、次の秋の土用に食べると良いとされているものは、「た」のつくもの、または青色のものと言われています。秋の味覚で、思いつくものといえば・・・旬をむかえるサンマ?

また、土用すべてに共通して言えるのは、季節の変わり目にあたる時期は、体調を崩しやすい傾向にあるため、消化の良い物やその季節の旬のものを食べることも必要だと言われています。

土用にしてはいけないことがある!?

土用の期間は、土を司る神様が支配するといわれ、土を動かしてはいけないとされてきました。
今でも、家を購入する、建てる際、土を掘り起こしたりする基礎工事などは土用の期間をはずす方が多いようです。他にも、土いじり(ガーデニング含む)→腰を痛めると言われています、引っ越し、穴を開けること、言い争いをすると泥沼になると言われています。

しかし、土用の期間、じっとしているわけにもいきませんので、「間日(まび)」というものが設けられています。 間日とは、土の神様がは地上にいなくなる時期とされています。

土用期間中であっても、建設業、農作業の関係でどうしても土をいじらなければならない、引っ越しの予定があるなど、「間日(まび)」をおすすめします。ちなみに、2016年は10月20日・28日・30日、11月1日が間日にあたります。

土用のおすすめの過ごし方は?

土いじりをしてはダメ、新しい事をスタートするのも控えたほうが良いとなるとどうすごせば良いのでしょう?土用の過ごし方でおすすめなのが掃除や整理整頓など、家の環境を整変える事、また次の季節に備えた衣替えなどです。外に出るより、家の中で出来ることをして、次に訪れる時期に順応できるように準備をする時期というとかわりやすいですね。

そして、おすすめなのが、自宅でお灸をすることです。
特に、夏の土用の「土用の灸」が有名で、土用にお灸をすると他の時期より効果があるとされています。
家の中でのんびりと疲れた体を癒し、また次の季節に備えて、営気を養いましょう。涼しくなってくると、お灸の温かさがよりいっそう心地よいです。

季節の変わり目に「土用」を設けたのは、体調を崩しやすい季節の変わり目には、無理して体力を消耗するようなことは避け、体を養生し、健康に一年を過ごせるようにという先人の知恵なのでしょうね。
秋は、乾燥や寒冷で、皮膚や呼吸器系のトラブルにも要注意ですので、逆にあたる、潤い、温めることがこの時期を健康に過ごすポイントにもなります。
1年に4回ある要注意の時期「土用」をお見逃しなく!

鍼灸師 中嶋 恵子

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