日に日に春の陽気を感じる日が多くなってきましたが、冷たい風が吹く日もあり、この時期は陽気と陰気がせめぎ合っているように感じられます。今回は、私たちの生活をとりまく 「陰と陽のバランス」 についてのお話です。
「陰と陽」という言葉は、みなさんも聞いたことがあると思いますが、これは古代中国の思想に端を発し、森羅万象、宇宙のありとあらゆる事物を陰と陽の二つのカテゴリに分類する思想で、これらは相反しつつも、一方がなければもう一方も存在しない。
相反する陰と陽の二つの気が消長盛衰し、調和して初めて自然の秩序が保たれるという考え方です。
例えば・・・自然現象においては、昼が陽で夜が陰。夏が陽で冬が陰。動が陽で静が陰。
人体においては、男性が陽で女性が陰。上半身が陽で下半身が陰というように分けられます。
東洋医学においては、病は陰陽の過剰あるいは不足によるバランスの崩れた状態だと考えます。
このことから、鍼灸治療では、過剰や不足に対応してバランスを調整ことで健康を回復するお手伝いをしています。
日常生活でも、陰陽のバランスを意識し、自然に沿って生活をすれば健康を保つことができます。
例えば、夜遅くまで明るい照明の下、テレビやインターネットの画面を見ている人が大勢います。
明るい昼は陽、暗い夜は陰。本来陰の時間帯に活動的な陽が浸食している状態です。
深い睡眠は、陰が深まることで充実しますが、陽気が残っていると熟睡できません。
体のスイッチを徐々に陰に向けていく準備が必要です。
食生活でも、陽(身体を温めるもの)、陰(身体を冷やすもの)があります。
陽性の食材は、肉や魚、卵類、根菜類、山芋、味噌、梅干しなど。陰性の食材は、砂糖、お酒、香辛料、スナック類、コーヒー、お米、パン、葉物野菜など。
陰性の食べ物ばかり摂取していると冷え性になりがちで、陽性の食べ物ばかりでは高血圧や心筋梗塞の素因になりやすいと言われます。
どちらかに偏ることなく、体の状態に合わせて陰陽の食材をバランス良く摂取することが大切です。
夫婦も同じく、陽が二人ではバランスが崩れます。
友人との会話でも、話し手と聞き手のバランスが大切ですね。
このように、様々な生活場面の陰陽バランスをチェックし改善していくことで、ゆっくりと自然の調和がとれていくのではないかと思います。
みなさんも、どちらかに偏って不協和音を奏でている箇所は無いか、ご自身の陰と陽のバランスをチェックしてみてください。
鍼灸師 中嶋 恵子
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