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不妊鍼灸治療の適切な受け方

妊娠のための治療を希望される方へ、治療の概略を説明します。効果を最大に増幅するための治療方針となりますので、参考にされてください。

治療方針

不妊治療は時間との闘いでもあります。一周期でも貴重な時間を無駄にしないため最短期間で結果を出すことに主眼を置いております。また、治療時間や刺激はお体の負担を考え、必要最小限にとどめることを目標としております。

最短で妊娠へ導くには子供が授かりにくい原因・要因を様々な角度から検証することがなにより大切になります。いままでの婦人科での検査結果、治療などの共有をお願いしております。また、未受診の婦人科・泌尿器検査があった場合は、担当医と相談するようお願いをしております。特に担当医がいない場合は、私たちが連携している医療機関を紹介させていただきます。

治療計画

子供が授かりにくい原因が明確な場合とそうでない場合がありますが、鍼灸治療を開始する前に、問診と検査を行い、その結果を踏まえて治療計画を立てます。治療計画を立てる時に大切にしていることは、その治療計画を患者様に納得・理解していただき、進めていくことです。難しい専門用語は使わず、その方の抱えている課題について分かりやすく説明します。患者様からの質問で、その場でお答えできないような高度な内容については、当院の顧問医師や連携している専門家に問い合わせ、的確な見解を後日お伝えいたします。

ステージ別治療計画の概要

タイミング、人工授精、高度生殖医療(体外受精・顕微授精)、男性不妊、社会的適応及び医療的適応卵子凍結、PCOS、妊娠後の鍼灸など、それぞれステージ別の治療について説明します。

あなたの現在の妊活ステージは?
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1)タイミング段階

長期間タイミングをとってもなかなか妊娠に至らない方のほとんどが産科婦人科へ通院しています。まだ何も検査を受けていない方には基本的な検査がありますので、鍼灸と併用して検査をお願いします。卵管が詰まっていたり、精子が一匹もいなかったりしては、いくら良い鍼灸治療をしても、妊娠に至りませんので、まずはそういったことがないかどうかの確認が先決です。

既に産科婦人科への通院歴がある方については、投薬やタイミング指導の記録を拝見し、その方にとってベストな通院計画を立てていきます。この段階の方の多くは鍼灸治療を開始すると、速やかに妊娠される方がたくさんいます。卵管がちゃんと通っており、精子にも問題ない場合、その問題のほとんどは自律神経に由来します。卵管は排卵された卵子をキャッチし、卵管内で受精させ、子宮まで輸送する能力があります。自律神経の乱れにより、卵管本来の能力が損なわれてしまった場合、不妊の原因となります。また、自律神経は着床にも影響を与えますので鍼灸治療でそれらが改善されれば速やかに妊娠します。

体外受精を何度も経験した方が、体外受精のお休み期間中に自然妊娠されるといったケースもあります。当の本人は本当にびっくりしますが、自律神経が整っただけで、妊娠してしまわれる方は多いのです。タイミングを取ることが可能で卵管・精子に問題のないカップルには適宜状況を判断して、タイミング指導を行ってまいります。

<受療ポイント>
治療間隔は、原則週に1回以上となります。間隔があきすぎないようにしてください。どうしても予約をキャンセルしなければならない場合は間隔を開けすぎないよう、代りの予約を入れてください。提案された治療計画を守っていただくことが効果を最大限引き出すためには欠かせません。過去に自然妊娠や人工授精で妊娠された方の多くが、4周期以内に妊娠しています。

2)人工授精段階

人工授精の累積妊娠率は4回までが80%です。6回で90%に達するといわれています。ですから、6回以上行っても妊娠しない場合は、人工授精での妊娠は難しいと考えられます。特に抗精子抗体が陽性の場合は女性側と男性側の度合いを確認し、場合によっては顕微授精が必要な方もおります。過去の検査・治療歴のデータを参考にして治療計画を立てていきます。

人工授精単体よりタイミングと平行することで、妊娠率が更に高くなりますので、タイミングを取る事が可能なカップルは人工授精と並行して、タイミング指導を行います。

<受療ポイント>
人工授精と自然妊娠は、妊娠機序が同じなので、タイミング段階同様、治療頻度は週1回以上となります。間隔があきすぎないようにしてください。どうしても予約をキャンセルしなければならない場合は間隔を開けすぎないよう、代りの予約を入れてください。提案された治療計画を守っていただくことが効果を上げるためには欠かせません。この段階から次の段階(体外受精など)へステップアップの予定がある方については、体外受精を視野に入れた治療計画を立て、経過を見ながら治療を進めていきます。自然妊娠同様、過去に自然妊娠や人工授精で妊娠された方の多くが、4周期以内に妊娠しています。

3)高度生殖医療(体外受精・顕微受精)の段階

近年、体外受精の方法(刺激法、移植法、培養法)が目まぐるしく変化しています。また、科学の進歩により付随する検査(ERA, EMMA, ALICE, PGT-A、Th1/Th2比)も増えています。実に様々なケースがあるため、ここで全てを網羅することはできませんが、大きく3つの段階に分類することができるので、その説明をします。

1)はじめての体外受精を予定されている方
タイミングや人工授精の延長線で体外受精を視野に入れている場合がほとんどかと思いますが、年齢が40歳を過ぎている場合やAMHの値が低い場合は直ぐ体外受精へ進まれる方も多いのではないでしょうか?体外受精での成功を左右する大きな要因の一つが良好な卵子の獲得になります。刺激方法やAMHなどの値によって、採卵できる卵子の数は大きく変化しますが、質の良い卵子の獲得が妊娠への第一歩となります。

<受療ポイント>
卵子の質向上を目指す場合、治療期間は最低でも3か月以上となり、半年ほど時間を要する場合もあります。その根拠として、卵子は排卵するまで120日以上かかるということと、その質の決定には90日程度時間を要するという事実があります。実は卵子は排卵するまで、原始卵胞~前胞状卵胞を経て、最終的に成熟卵となり排卵に至ります。そのどのプロセスで異常が生じているかによって、結果が現れるまでの期間が変わってきます。

この治療期間の検証は胚盤胞到達率を検討した研究で明らかになっています1)。胚盤胞まで受精卵が成長しなかった方が鍼灸+レーザー治療を開始して3か月をすぎるころから、胚盤胞到達率が徐々に向上してくることが分かっています1)。

参考文献 1)Nakamura Kazunori, LASER THERAPY 2017 Volume 26 Issue 3 236-244

治療頻度は週に1回~週に2回の治療となります。採卵の予定が既に組まれている場合は、その採卵に向けた準備をしてまいります。卵子の質に対するアプローチは90日の期間を要しますが成熟度を高めるための治療は短期間で効果を発揮する場合があります。体外受精では成熟卵(MII)の獲得が結果を左右します。治療計画をしっかり守っていただくことが効果を上げるためには欠かせません。

2)過去に体外受精を経験され、うまくいかずに来院されるケース
当院へ来院される患者様でもっとも多いケースがこちらになります。過去に3回以上採卵をされていて、結果が出ない方の多くは、ご自身の体の不調も抱えていることが多く、また、このまま採卵・移植を繰り返すことに不安を抱えています。

いままでの治療成績や受診された検査結果を分析し、鍼灸でできることを説明します。妊娠できない要因はいくつもありますが、未受診の検査があった場合、提案させていただく場合があります。より健康に、そして前向きに妊活に取り組めるよう、現状の把握と今後期待できることの説明をします。

<受療ポイント>
多くの方は抜本的な体質改善を行う必要があります。週一回~週2回の鍼灸レーザー治療と併用して、漢方やサプリメントのご利用をお勧めする場合があります。仕事、クリニックへの通院にプラスして鍼灸院の通院が重なることになるかと思いますが、負担を減らせるように最善を尽くしたいと考えております。

3)胚移植のために治療を行う場合
胚移植は通常内膜の厚さが7mm以上必要です。(クリニックによってはあまり厚さを意識されないところもあります。)エストロゲンを投与しても内膜の肥厚が見られない場合はPRP(多血小板血漿)療法やPFC-FD(血小板由来因子濃縮物フリーズ・ドライ)療法の対象となることがあります。鍼灸の内膜に対する効果としては、子宮へ血流を供給している動脈への血流促進が基礎研究で明らかになっています。また、鍼灸によって、内膜組織の遺伝子発現が妊娠に優位に働く可能性も示唆されています。また、着床を可能にするには免疫が寛容であることが求められます。自己の免疫が受精卵を攻撃してしまわないようにする仕組みです。

<受療ポイント>
問診・検査を経て、下腹部(腹腔内)の状態を把握し、治療計画を立てます。内膜の厚さに問題がなければ、移植をする周期の前の周期の月経開始後から治療を開始します。内膜の厚さに問題がある場合は、2-3周期、時間を要する場合があります。移植サポートのみ希望の方は移植の前後で治療にお越しいただきます。鍼灸を受けるタイミングは初期胚、胚盤胞、または二段階移植などによって変化しますので、その際に説明いたします。その他、ホルモン補充周期や自然排卵周期、二段階移植など、移植の方法もその時々で変化しますので、臨機応変に対応いたします。その他、ERA(着床の窓の検査)、ERA(子宮内マイクロバイオーム乳酸菌検査)、ALICE(慢性子宮内膜炎原因細菌検査)などの検査結果を受けたことがある方は、検査結果の共有をお願いします。

4)男性不妊

最近では精子の見た目(運動率、奇形率、数量)だけではなく、精子の受精能の検査など、精液の所見を分析する指数が多数出現しております。例えば、DFI(DNA Fragmentation Index)やTAC(Total Antioxidant Capacity)などはここ数年注目され始めた検査です。DFIではDNA損傷の精子の割合を算出します。TACは精子の酸化ストレスを計測しています。

精子が精液中に存在しない、非閉塞性無精子症については、鍼灸の適応は限られています。特にAzf欠損、セルトリオンリーセルやマチュレーションアレストとった難治症例については、鍼灸は不適応です。

精索静脈瘤が確認された場合は、手術の適応となるので、まずは男性不妊外来の受診をお願いしています。精索静脈瘤手術と鍼灸の併用で相乗効果が期待できます。

近年、鍼灸の造精機能への影響についての研究が進んでおり、とても良い結果が多数報告されています。卵巣・精巣については、血管の走行こそ異なるものの、血管や自律神経支配は卵巣と変わりませんので、基本的には女性と同じ治療を行います。

<受療ポイント>
精子は卵子より成熟までの期間が短く、おおよそ70日で精細胞から精子へと成長します。この間にしっかり治療を継続し、精液所見の改善を目指します。精液所見改善のメリットとして、いままで体外受精・顕微受精の対象だった方が、自然妊娠が可能になるレベルまで精液所見の改善がみられることです。男性側に原因があるのに、女性が負担を強いられている場合は、男性側の積極的な協力が功を奏すことがあります。顕微受精が対象だった方が、自然妊娠や人工授精での妊娠も可能となるケースが多々あります。治療間隔は週に1回~2回。また、精子は酸化ストレスに弱いので、抗酸化サプリメントの摂取をお勧めします。

5)社会的適応及び医療的適応卵子凍結

未授精の卵子を凍結することを「妊孕性温存」といいます。社会的適応は妊孕性が高いうちに、将来に備えて未受精卵子を凍結しておく方のことを指します。加齢に伴い妊孕性が低下するのは確実なので、将来の結婚・妊娠に備える方のための治療といえます。医療的適応とは悪性腫瘍の治療等、医学的介入により性腺機能の低下をきたす可能性を懸念する場合を指します。抗がん剤治療・放射線治療は、生殖細胞への毒性が高く、不妊の原因となるため、治療を開始するまえに、卵子を凍結する方法です。

<受療ポイント>
1)の初めて体外受精を予定されている方の受療ポイントを参考にしてください。90日間治療をしっかりと受けたのちに採卵に臨まれることをお勧めしております。但し、医療的適応の場合は、一刻の猶予も許さない場合があるので、ご相談ください。

6)PCOS(Polycystic Ovarian Syndrome) 多嚢胞性卵巣症候群

PCOS(Polycystic Ovarian Syndrome 多嚢胞性卵巣症候群とは、排卵障害の一種です。主な特徴として、月経3日目のLH/FSH比の逆転が見られます。また、ネックレスサインといって、多くの卵子が同時に育ち始める現象が見られます。AMHも高値となります。鍼灸のPCOSに関する論文も多数発表されており、有効性が明らかになっています。

PCOSでタイミング段階の方
卵管に特に問題がなく、また、精液所見も良好な場合、ステップアップを視野にいれ、まずは3周期のタイミング指導又は人工授精で様子を見ます。PCOSの妊娠への近道は、PCOSに理解のある医師との連携です。PCOSの特性を理解し、その方にあった、お薬を処方が大切です。お薬の選択肢としてはクロミフェン、セキソビット、レトロゾール(フェマーラ)などが挙げられます。

「いかに卵子を成熟させ排卵させるか」が、PCOSの治療の要となります。刺激が弱いと卵が育たない、刺激が強いと育ちすぎる。ちょうど良い刺激で成熟卵を必ず排卵させることが成功のカギとなります。鍼灸治療と同時に、お薬の調整も欠かせません。

3周期様子をみて、結果が出ない場合は、ステップアップを検討します。3周期の鍼灸治療の成果が採卵成績に反映されます。

PCOSで体外受精を予定されている場合
PCOSではたくさんある卵子をどれだけ成熟卵として採卵できるかが勝負となります。
未熟卵子と未熟すぎて卵胞壁からはがれ落ちていない空胞卵胞ばかりで、結局、未熟卵数個と空胞卵胞ばかりという結果になる方を多く見かけます。自然妊娠が可能性な方に関しては、まず3周期、タイミング指導・人工授精で様子を見ながら治療を進めていきます。

また、病院選びも重要な要素となります。PCOSの方はしっかりと卵子の成熟にこだわり採卵すれば結果が出やすくなります。

<受療ポイント>
PCOSは妊娠のために必要な指令系統全般の調整が必要となります。脳下垂体から分泌されるホルモン、卵巣から分泌されるホルモンのフィードバック機構が正常に機能しなくなっています。月経3日目よりLHの値が高くなっていることで、LHサージが起こりづらくなっており、排卵障害の原因となっています。週に1回~2回の治療とセルフケアが大切です。特に肥満傾向の女性は体重を落とすことが治療成果に結びつきます。

7)妊娠された後の鍼灸治療について

当院では、妊娠12週まで鍼灸治療の継続をお勧めしております。というのも、妊娠初期は一刻一刻、出産に備えて体に変化がおこります。まずは、悪阻(つわり)やだるさ、疲労感、むくみを経験されると思いますが、健やかに妊娠初期を過ごせるよう体調管理をします。流産がもっとも起こりやすいのが妊娠6週~10週の間です。受精卵の染色体異常が流産原因の70%です。30%は母体の異常です。いずれにしても、妊娠初期の体調管理は大切になりますので、12週までサポートさせていただいております。12週で当院の妊娠のための治療は「卒業」となります。卒業後は腰痛、逆子、産後の育児により腱鞘炎など個別に対応させていただきますので、何なりと相談願います。

<受療ポイント>
心拍確認後の通院頻度は基本的に週に1回ですが、悪阻が続いたり、頭痛、腰痛などの不定愁訴がある場合は、個別に判断して治療頻度と期間を決定します。また、妊娠前から継続して妊娠に必要な栄養素の補給をお願いしています。特に葉酸やビタミンD、ビタミンB群の必要十分な摂取は赤ちゃんの健康にとってもとても大切ですので、きちんと継続して摂取できているかどうか、確認しております。

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