〜最新研究から見えてきた“抗炎症食”の重要性〜
はじめに
妊活に取り組む女性の多くが、「食生活はどの程度妊娠に影響するのか?」と疑問に思われることでしょう。
最新の研究では、単に栄養素の不足や過剰だけでなく、食事が体内で炎症を引き起こすかどうかが、生殖機能や妊娠率に大きな関わりを持つことが明らかになってきました。
今回は、2024年に発表された Wang らの研究を中心に、炎症性食事と不妊リスクの関係、そして妊活中に取り入れたい食生活の工夫について解説します。
食事炎症指数(DII)とは?
研究のキーワードとなるのが DII(Dietary Inflammatory Index:食事炎症指数) です。
これは、日々の食事が炎症を「促す(プロ炎症性)」か「抑える(抗炎症性)」かをスコア化したもので、近年、妊娠・出産領域の研究にも多く用いられるようになっています。
- DIIが高い食生活:加工食品、砂糖・精製炭水化物、飽和脂肪酸、赤肉、揚げ物 など
- DIIが低い食生活(抗炎症食):魚に含まれるオメガ3、果物・野菜、全粒穀物、ナッツ、オリーブオイル など
Wang W et al. (2024) の研究から
論文タイトル:
Wang, W., Xu, H., Guo, J., & Dong, J. (2024). Dietary Inflammatory Index and Female Infertility: Current Evidence and Future Directions. Frontiers in Nutrition, 11:1391983.
https://doi.org/10.3389/fnut.2024.1391983
研究の要点
- 炎症性の高い食生活(DIIが高い群)は、不妊症のリスクが有意に高い ことが報告されました。
- プロ炎症食は、卵巣機能低下・子宮内膜環境の悪化・ホルモン調整機能の乱れに関与。
- 抗炎症的な食生活は、炎症や酸化ストレスを抑えることで、着床や排卵、妊娠継続に良い影響を与える可能性 がある。
著者らは「抗炎症食を妊活の一つの戦略として検討すべき」と提案しています。
妊活における炎症の位置づけ
炎症は本来、身体の防御反応として重要ですが、慢性炎症が続くと生殖機能に悪影響を及ぼすことが知られています。
- 子宮内膜の着床能の低下
- 排卵障害
- 早産や流産のリスク増加
- 卵子の質低下
つまり「炎症のコントロール」が、妊活における新しい鍵のひとつと言えます。
抗炎症食の具体例
妊活中に意識したい抗炎症的な食事の工夫をまとめました。
- 魚を週2回以上
- サーモン、イワシ、サバなどに含まれるオメガ3脂肪酸は強力な抗炎症作用。
- カラフルな野菜と果物を毎日
- ビタミンC・E、ポリフェノール、カロテノイドは抗酸化・抗炎症に有効。
- 良質な油を選ぶ
- オリーブオイル、アボカド、ナッツ類を取り入れる。
- 精製炭水化物や加工食品を減らす
- 白砂糖、白米、菓子パン、揚げ物の頻度を下げる。
- 全粒穀物・豆類を主食や副菜に
- 食物繊維が腸内環境を整え、炎症を抑える働きをサポート。
アキュラ鍼灸院での取り組み
当院では、鍼灸・漢方に加え、栄養療法やライフスタイル改善の指導も行っています。
食生活の炎症コントロールは、サプリメントや検査と組み合わせることで、より精密にアプローチすることが可能です。
「妊活がうまくいかない」「検査は問題ないのに妊娠しない」といった方にとって、見えにくい炎症の影響を整えることが突破口になるかもしれません。
まとめ
- 炎症は妊活において無視できない要素であり、特に食生活による影響が研究で明らかになってきている。
- Wangら(2024)の研究では、炎症性の高い食生活(高DII)が不妊リスクを高めることが示された。
- 抗炎症的な食生活を取り入れることは、卵巣・子宮・ホルモン環境を整え、妊娠の可能性を高めるサポートになる。

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