今日は妊娠率についてお話させていただきます。
不妊治療で一番気になるのは妊娠率だと思います。そのクリニックの実績が実際どうなっているのかはみなさん知りたいと思います。
そこで今日は数字のからくりについて書きたいと思います。
まず妊娠ということばですが、どの段階から「妊娠」と判断するかです。日本産科婦人科学会では胎嚢をエコーで確認できるものを臨床妊娠と呼んでいます。血液検査にてhCGの数値のみで妊娠判定する場合を化学妊娠と言います。化学妊娠のほうが、臨床妊娠より有意に数字は高いです。臨床妊娠率のほうが化学妊娠と比較して大よそ7%~10%近く低くなります。また、更に厳しい基準を設けるとすれば、心拍確認をもって、妊娠と判断する場合は、更に妊娠率は低くなります。
次は分母・分子の話をします。
1)凍結胚移植
凍結胚移植のほうが妊娠率は高くなりますがその理由は多くの場合、胚盤胞まで培養してから凍結し、移植することが増えているからです。ということは、胚盤胞まで育たなかった物は数に入れられてません。当然のことながら、採卵ができなかったものや、受精すらしないものもは数にはいれられてません。凍結胚移植はいったん凍結したものを融解して、移植するので、融解した時に変性してしまったものも含まれてません。
2)新鮮胚(卵)を用いた治療成績〔2012年〕
そこで、以下は大変シビアな目で2012年に日本産科婦人科学会発表の新鮮胚移植のデータを見てみたいと思います。
治療周期総数 207,337
採卵総回数 202,396
移植総回数 70,522
全胚凍結周期数 63,113
妊娠数 14,650
移植あたり妊娠率 20.8%
採卵あたり妊娠率 7.2%
流産数 3,824
妊娠あたり流産率 26.1%
生産分娩数9,865
移植あたり生産率 14.0%
死産分娩数 36
例えば、採卵あたりの妊娠率が7.2%となっていますが、採卵に至らなかった数は含まれておりません。治療周期総数全体で割ると数字は7%まで落ちます。
また、生産率(分娩した数)については36症例の死産も含まれています。純粋に生きて生まれてきた子供の数は9,829人となります。よって、新鮮胚(卵)を用いた治療周期総数と出生児を割ると妊娠率は4.7%となります。移植あたりでは20.8%の妊娠率も、このように定義を変えるとことによって、妊娠率はグッと下がってしまいます。
更にシビアにして、染色体異常や先天異常のない分娩に定義を絞ると、129人については異常を認められたので、出生児の数は9,700名まで減ってしまいます。
3)患者の年齢
上記のデータに患者の方の年齢は含まれてません。ご存知の方もいると思いますが、妊孕性は35歳を過ぎたころから急激に低下し、流産をする確率は逆に急激に上昇します。
治療技術云々以前の問題として、年齢により妊娠率は大きく異なります。若い患者の方が多いクリニックでは当然ながら、妊娠率・出産率は高くなり、年齢が高い人や難治性の患者の方が多いクリニックは成功率が低くならざるを得ません。
技術が確かで評判の良いクリニックにはブログなどの噂を聞きつけ、難しい患者の方が集まる傾向にあります。
どうでしょう、定義を工夫することで、データの見せ方は変わります。クリニックや病院の妊娠率などを検討するときは、こういうことも念頭に入れて、選んでいただければと思います。
参考になったのであれば、幸いです。
アキュラ鍼灸院 院長 徐 大兼
Vol. 16
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