体外受精と「環境からの影響」について
〜最新レビュー論文から〜
こんにちは、アキュラ鍼灸院の徐です。
体外受精(IVF)は、妊活の選択肢として多くの方が利用されていますが、その成功率はまだ100%にはほど遠いのが現実です。最新のレビュー論文(Orsoliniら、2025年)では、「配偶子(精子・卵子)が体の中で受ける環境からの影響=環境毒性」が、質の低下を招き、妊娠の可能性を下げることがあると報告されています。
目次
環境と配偶子(精子・卵子)の関係
精子や卵子の質は、そのまま受精・胚発育・着床のしやすさにつながります。
特に次のような環境要因が配偶子に悪影響を及ぼすとされています:
- 重金属(鉛、カドミウムなど)
- PFAS(撥水加工や食品包装に使用される化学物質)
- 持続性有機汚染物質(POPs)
- 大気汚染物質
これらは生活の中で完全に避けることは難しいですが、体内に蓄積することで生殖機能を妨げる可能性があります。
有効な検査とチェック方法
妊活中の方が環境要因や栄養状態を把握するのに役立つ検査もあります。
当院では提携クリニックにて下記検査を提供しています。
- 血液検査:亜鉛・鉄・ビタミンDなど、妊娠に必要な栄養素の不足を確認
- 有機酸検査(OAT):ミトコンドリア機能や腸内環境をチェックし、代謝状態を把握
- 毛髪ミネラル検査:水銀や鉛などの重金属の蓄積度合いを確認
- 腸内環境検査(GI-MAPなど):腸内細菌バランスを調べ、慢性炎症や吸収不良のリスクを見極める
栄養素のサポート
研究や臨床経験から、以下の栄養素は妊活において特に重要と考えられています。
- 葉酸(活性型 5-MTHF):DNA合成と着床サポート
- ビタミンD:ホルモン調整と免疫バランス
- オメガ3脂肪酸(DHA/EPA):炎症を抑え、卵巣・精巣機能をサポート
- ミトコンドリアサポート栄養素(CoQ10、カルニチン、マグネシウム、ビタミンB群)
- 抗酸化物質(ビタミンC、E、NAC):酸化ストレスから精子や卵子を守る
日常生活での工夫
- プラスチック容器の代わりにガラスや陶器を使う
- 換気や空気清浄機で大気汚染の影響を減らす
- 食品添加物や加工食品をなるべく避ける
- バランスの取れた栄養補給を意識する
まとめ
体外受精の成功率を高めるには、医療だけでなく 「体の中の環境を整えること」 が大切です。
環境毒性の影響を減らし、必要な栄養素を補うことで、精子や卵子の質を守ることができます。
当院では、鍼灸治療に加えて栄養カウンセリングや生活習慣のサポートも行っております。妊活を進めるうえで「何を整えればよいのか」を一緒に見つけていきましょう。
参考文献
Morgan Orsolini et al.
In vivo gamete toxicology in the context of in vitro fertilization: a narrative review
F S Rev 2025 Jun;6(1)

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