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寝る時間が不規則だと、妊娠まで1.5倍長くかかる!?
妊活と睡眠リズムの関係
「よく寝ているはずなのに、なかなか妊娠できない…」
そんな方に注目していただきたい研究があります。
アメリカの学術機関による研究で、「睡眠時間の長さ」よりも「毎日の睡眠リズムの安定性」が妊娠に大きく影響している可能性が示されました。
研究の概要
- 対象:妊娠を希望する183名の女性
- 方法:腕時計型デバイス(アクチグラフ)で2週間の睡眠・活動リズムを測定し、その後1年間妊娠の有無を追跡
- 結果:183名中82名が妊娠(中央値 2.8か月 で妊娠に至った)
主な結果 ― 不規則な睡眠は妊娠を遅らせる
- 就寝時間のばらつき
- 毎日の就寝時刻のズレが 1.8時間未満 の人に比べ、1.8時間以上ズレている人は妊娠までのスピードが約40%遅かった。
- (調整ハザード比 aHR = 0.60)
- 睡眠時間のばらつき
- 毎日の睡眠時間のズレが 2.3時間未満 の人に比べ、2.3時間以上ズレている人も妊娠のスピードが約42%遅かった。
- (aHR = 0.58)
👉 言い換えると、睡眠が不規則な人は、妊娠にかかる時間が約1.5倍長引く可能性があるのです。
一方で、「平均的な睡眠時間」や「寝る時間が早い・遅い」といった要素そのものは、妊娠との明確な関連は見られませんでした。
なぜ睡眠リズムが妊娠に影響するのか?
私たちの体は体内時計に支配されており、ホルモン分泌や排卵、子宮内膜の準備などはサーカディアンリズムに強く依存しています。
睡眠が日によって大きく乱れると、
- メラトニンやコルチゾールなどのホルモンバランスが崩れる
- 卵胞発育や排卵に影響する
- 子宮内環境にも乱れが生じる
といった可能性が考えられます。
妊活に取り入れたい生活習慣
この研究はパイロット的なもので、今後さらに大規模な研究が必要ですが、妊活中の方は以下を意識すると良いでしょう。
- 毎日ほぼ同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
- 寝る直前のスマホや強い光を避ける
- 休日の「寝だめ」をやめ、平日と同じリズムを保つ
これらの工夫で体内時計を整え、ホルモンバランスをサポートすることが、妊娠への近道になるかもしれません。
🔑 まとめ
- 睡眠時間の長さよりも、日々のリズムの安定性が妊娠に重要。
- 就寝・睡眠時間のばらつきが大きい人は、妊娠までの期間が約1.5倍長引く可能性。
- 妊活中の方は「睡眠の規則性」を整えることを意識しましょう。
引用文献
Gaskins AJ, et al. Chronodisruption and time to pregnancy: a pilot prospective cohort study. Fertility and Sterility. 2020;113(6):1190-1198. doi:10.1016/j.fertnstert.2020.02.016

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