前回、高プロラクチンと女性不妊についてご紹介させていただきました。
プロラクチンとは、脳下垂体前葉から分泌され乳腺の発達を促進し、乳汁を分泌させる働きを持つホルモンです。
実はこのプロラクチン、男性不妊の原因にもなりえます。
プロラクチンが多く産生されると視床下部からのGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌が抑制、その結果下垂体からの性腺刺激ホルモン(FSH・LH)の分泌抑制、およびテストステロン(主に精巣から)の分泌が抑制されます。これにより性腺機能低下が引き起こされますが、精子の質の低下から精子産生の停止まで幅広い現象が起こりえます。
さらに精巣内のライディッヒ細胞やセルトリ細胞、精巣輸出管には、プロラクチンを感受するレセプターが存在。そのためプロラクチンが精巣でのステロイド産生、精子形成・分泌能力に直接的にかかわる可能性も示唆されるそうです。実はこのプロラクチン、近年では乳汁分泌作用の他、中枢作用としてストレス性胃潰瘍防止作用、末梢作用として副腎皮質機能増強作用を発揮することがわかってきました。平たく言うとアンチストレスホルモンとして機能するということです。
生物として授乳を行わないオスにもプロラクチンが必要な理由、またストレスが妊活に大敵であることが化学的にもわかりますね。
日本における不妊治療患者層は諸外国に比べ比較的年齢が高く働き盛りの方がほとんど。過労・寝不足・運動不足だけでなく、ストレスレベルも高い方が多く見受けられます。鍼灸治療はストレス緩和に役立ち自律神経のバランスを整えます。私共ではさらに近赤外線レーザー、漢方薬の併用を行うことで視床下部・脳下垂体・精巣の指揮命令系統の正常化を図ります。
治療プロセスを極力効率よくするためにも、大切なパートナーの心身の負担を軽減するためにも、男性もぜひ積極的なケアをしていただきたいと思います。
鍼灸師 鈴木 麻希子
■参考文献・サイト:
Hyperprolactinaemia in male infertility: Clinical case scenarios:
ストレスとプロラクチン
不妊症の検査はどこで、どんなことをするのですか?(一般社団法人日本生殖医学会より)
男性不妊症の病院に行くと何をするんですか?(NPO法人男性不妊ドクターズより)




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