さて今日は、染色体異常について のお話をしようと思います。
不妊症・不育症の原因としてよく耳にしますね、染色体異常。
受精卵・胎児に染色体異常があると、不妊症や不育症の一因となります。
どんな種類の染色体異常があるのか、それはどういうことなのか。
そんなお話です。
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染色体異常によっておこること
染色体異常が大きければ大きいほど、早期に淘汰されます。
染色体異常は受精卵の段階で約40%に認められますが、
新生児には、0.9%となります。
つまり、染色体異常を持つ受精卵のほとんどが、出生前に淘汰(流産)されることになります。
→ 着床前に淘汰 = 不妊症
→ 着床後に淘汰 = 不育症
→ 出生に至る = 先天異常症
染色体異常の種類は大きく分けて2種類
染色体異常は、大きく分けて2つの原因があります。
①胎児染色体異常
②夫婦染色体異常
①胎児染色体異常とは?
配偶子(※)形成過程時、偶発的に起こる突然変異によるものをいい、ほとんどは、次回の妊娠に影響するものではないとされています。
精子の染色体異常率は約10%で加齢の影響はほとんど受けません。
卵子の染色体異常率は若年時で約25%、加齢とともに上昇します。
胎児染色体異常による流産は、多くの場合10週未満の妊娠初期に起こります。
※配偶子:生物の生殖細胞のうち、接合して新しい個体を作るもののこと。
ヒトの場合、卵子と精子が受精することにより、子供ができるので、
卵子と精子が配偶子にあたる。(Wikipediaより)
②夫婦染色体異常とは?
ご夫婦のどちらかあるいは両方に染色体異常があることで、配偶子の染色体に異常が生じるものをいいます。
①胎児染色体異常だったらどうする?
「偶発的な突然変異によるもの」である以上、防ぐ手立てはありません。
受精卵の染色体異常を事前にチェックする方法(着床前診断)もありますが、生命倫理的問題があり、適応は厳格に検討されます。
→ 着床前診断は日本産科婦人科学会への申請・許可が必要であり、
重篤な遺伝理疾患や習慣流産が対象となっていて、
体外受精の成功率を上げる目的では認められていません。
(2017年10月現在)
②夫婦染色体異常だったらどうする?
染色体異常を持つ方には、以下のようなタイプがあります。
数の異常 : モノソミー、トリソミーなど
構造の異常 : 不均衡型構造異常、均衡型構造異常
モノソミー、トリソミー、不均衡型構造異常の場合は、ダウン症やターナー症候群、クラインフェルター症候群、その他先天性異常症として発症しているため、本人に自覚があります。
しかし、均衡型構造異常は、本人に形態的・機能的疾患として認識されるものがほとんどないため、気づかないことが多々あります。
この場合、正常な染色体を持つ人よりも高い確率で染色体異常を持つ配偶子が形成されるため、不妊症・不育症が問題となることがあります。
夫婦のどちらかに染色体異常があるかどうかは、染色体検査(Gバンド分染法)を行うことでわかりますが、異常が認められた場合でも、染色体そのものを治療する方法は残念ながらありません。
前出の着床前診断により流産回数を減らせる可能性はありますが、
最終的な生児獲得率は変わらないと考えられています。
絨毛検査の必要性
流産時の絨毛検査は、必要だと思います。
なぜならば、上記のような染色体異常があるのか否かが判明すれば
治療法の変更が必要になってくるかもしれないからです。
染色体異常が認められた → 胎児か夫婦の染色体異常
繰り返すようであれば
夫婦の染色体異常を疑う。
染色体異常が認められない → その他の要因による流産
その他の要因ってなに?
アキュラのブログに沢山情報あります。
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不妊症・不育症の現場でよく耳にする「染色体異常」。
内容を改めて、説明させていただきました。
なんだか難しそうな「染色体異常」という言葉の理解の一助になれば幸いです。
鍼灸師 平井香菜
参考:病気が見える9、Wikipedia
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