今や日本人の5人に1人が何らかの問題を抱えていると言われている、睡眠。
寝付けない、途中で目が覚める、睡眠の質が悪い、目覚めが悪い・・・
皆さんは快適な睡眠をとっていますか?
まずは、睡眠の長さですが、理想は8時間という話をよく耳にしますが、この数字には根拠はなく、人によって必要な睡眠時間はそれぞれです。
年齢ごとの平均睡眠時間をみると、15才で8時間を下回り、70才で6時間を下回ります。
これはあくまでも平均値であり、個人がどれだけ睡眠時間を必要としているのかを客観的に判断する方法は現在無く、3時間でいい人もいれば10時間必要な人もいます。
基礎代謝が高くてエネルギーを多く消費している子供は睡眠時間を多く取る必要があり、年を重ね基礎代謝が低くなると睡眠時間も短くて良くなるという傾向はあります。
次に睡眠の構造ですが、睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類がある事は良く知られています。
レム(REM: Rapid Eye Movement)睡眠は、その名の通り眼球が素早く動き、脳は働いているけど、身体を休めている状態で、90分周期で現れるという特徴があります。
ノンレム睡眠は、脳を冷却し休養させる睡眠で、ステージが1~4まであります。
特に脳を休めるのに重要な深い睡眠はステージ3と4で、深睡眠(あるいは徐波睡眠)と呼ばれています。
この深睡眠は、寝付いた後3時間以内、つまりレム睡眠2周期の間に現れ、脳を冷却する上で最も大事な睡眠であるだけでなく、成長ホルモンもドッと大量に分泌されます。
その後起床まではレム睡眠とノンレム睡眠のステージ1と2を繰り返し、深睡眠は現れません。
このような睡眠の構造(リズム)を出来るだけ崩さないことが重要とされています。
最近の睡眠医学研究で、不眠に対する認知行動療法の効果が多く発表されています。自分の認識を再検討して、思考の癖を知り、修正していくというものですが、薬と同等かそれ以上の効果があると結論付けられています。
例えば、いつも寝つきが悪いので早めにベッドに入る→寝付けないから本を読んだり、音楽を聴いたり、スマホをいじる→逆に目がさえていつまでもベッドの中で起きている→寝付くのが遅いので朝起きられない…こんな悪循環に陥っている方はいないでしょうか?
そんな場合は、以下を試してみて下さい。
・眠くなってからベッドに入る
・10分経っても眠れなければベッドを出て、他の部屋に行く
・朝は同じ時間に起きる
・昼寝は極力しない
眠りたくても眠れない夜はつらいものです。行動を見直し、ベッドを「目が冴えてしまう場所」から、本来の「眠れる場所」へ戻していきましょう。
鍼灸師 天野 進也
引用文献
「8時間睡眠のウソ。」著者 川端祐人 三島和夫
参考URL
「ピッツバーグ睡眠調査票」http://www.sleepmed.jp/q/meq/psqi_form.php
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