皆さまこんにちは。
今年2015年8月29日、日本産科婦人科学会による不妊の定義が変わりました。※1
ニュースで聞いてご存知の方も多いのではないでしょうか。
ざっくりと言いますと、今までは「子供が欲しい夫婦が避妊せず2年以上妊娠しない場合」
を不妊としていましたが、
その2年という期間が1年に短縮された、ということです。
この変更、私たちにはどんなメリットがあるのでしょうか?
まずは変更された背景について説明いたしますね!
変更の背景①
結婚出産時の高齢化が進んだため
女性の妊娠確率は20台後半から下がり始め、35歳で大きく低下します。結婚年齢が高いということは、早い時期に不妊治療を始めた方が良いケースも多いということなのです。※2
東京都内では平成26年時点で平均結婚年齢は夫31.9歳、妻30.1歳。平均初産年齢は妻32.2歳です。
変更の背景②
国内の不妊定義を世界基準にあわせるため
海外の不妊定義にも目を向けてみましょう。
●世界保健機構(WHO):1年以上
●アメリカ生殖医学会(ASRM):1年以上。ASRMはさらに「もしあなたが35歳以上であるならば、6か月以上避妊せずに性交しても妊娠しなければ医学的な検査を始めたほうがよい」と推奨しています。
やはり、世界基準に照らしても様子を見る期間は1年。日本もそれに倣った形です。
メリットは?
●早くに検査・治療をうけることができる。
●もし治療が長引いた場合、公的助成金を利用できる期間が長い(例えば東京都は2年後から対象 が43歳以下となります)
「産婦人科にはまだちょっと抵抗がある……」とか、病院に行く前に情報が欲しい、と思われる方には国や自治体が相談窓口を開いています。
次の厚労省のページをご参考に。
(厚労省サイト(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken03/))。
ちなみに現在渋谷区役所はアキュラから徒歩3分のところに仮移転していますが、そこにも相談窓口が設けられています。
デメリットは?
。。。この定義の変更自体には、一見デメリットはなさそうです。
ただ付け足すことがあるとしたら
子供が欲しいと思ってから1年経った時、
夫婦の関係や価値観について振り返り未来を考える機会を持つことが
医療機関の受診と同じくらい大切だと思います。
例えば、
今二人は健康か?ライフスタイルは妊娠、出産、子育てするに向いているのか?家族観、人生観についてなど。
こと妊娠については行動は早ければ早いほど効果的です。ご夫婦の話し合いと、病院の受診をきっかけに赤ちゃんへの一歩を踏み出しましょう。
私たちもそのための支援を精一杯させていただきます!
※参考資料
※1 日本産科婦人科学会サイトより、8月に発表された新しい不妊の定義を抜粋。
不妊(症)、infertility(sterility)
生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみな場合を不妊という。その一定期間については1年というのが一般的である。なお、妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない。
※2 日本を含めた先進国では初婚年齢が高くなる傾向があります。
最新の平成26年人口動態統計によると、
初婚年齢
国内全体:男性が31.1歳、女性が29.4歳。
東京都内:夫31.9歳、妻30.1歳。
バブルがはじけた頃の20年前:夫28.5歳 妻26.2歳。
高度成長期の40年前:夫26.9歳、妻が24.2歳。
社団法人 日本生殖医学会
不妊症Q&A
http://www.jsrm.or.jp/document/funinshou_qa.pdf
鍼灸師 村越 麻紀子
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