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拘束と脱力

先月、「息詰まり」についてお話をさせて頂きました。そこからもう少し話を進めまして、息詰まりによって起こってくる状態をお伝えしたいと思います。

さてその前に、前回「横隔膜は半ば強引に作られた」という言葉が気になった方がいるかもしれません。これについてもちろん推測ではなく、私たちの身体にその所以が残されているのです。

横隔膜は呼吸をする為の筋肉ですが、その神経は一体どこからきているのか?
主に頸椎の3-5番からきています。これは、魚類の時にはなかった横隔膜を、頚の筋肉の一部を引きはがしてわざわざ肺の下へ持ってきたから起こったことです。単純に道のりが長いだけではありません、これが意味するところは、「首のコリも呼吸に影響し得る」ということです。皆さん、頚肩こりはありますか?デスクワークが主体となっている現代、ないと言う人の方が少ないのではないでしょうか。逆もまた然りです。息を止めてしまうことが頚肩こりの緊張にも繋がります。

さらに、横隔膜が緊張すると息を吸ってばかりで吐けなくなる、とも言いました。息が詰まり、止まってしまう。息が止まれば動きも止まります。そして思考も止まります。重い物を持ち上げる時に「ふんっ!」と力を入れた際、息を止めない人は少ないでしょう。つまり、息が止まると無意識に身体全体に力が入ってきてしまいます。

息を止めて、身体中に力をこめ、酸素がまわらず思考も止まり、頚も硬くなって周りも見られず、まさに囚人のように「拘束」されている状態です。おまけに私たちは時間に縛られ、青々とした空まで高層ビルと電線でしばりつけています。

この「拘束」から抜け出すことが様々な状態(精神的にも肉体的にも)から脱するきっかけとなってくれます。やはりそこでお勧めするのは「息抜き」です。

息を吐き、固まった身体をほぐしましょう。一流の選手、イチローやタイガーウッズは好調な時ほどふらりゆらりと脱力した状態でプレーに臨んでいます。一流の料理人がやわらかく食材と包丁を持って調理するように、バレリーナがあれほど軽やかな動きで信じられないほど跳躍するように、ゆっくりと息を吐いて自分の重心を感じることで余分な力がどこに入っているかわかってくるかと思います。ゆっくりとした息遣いが自分を感じさせてくれます。

「息」とは「自分の心」です。余分な力を抜き、自らを感じ、息遣いを確かにとることで、拘束状態から抜け出ることができるかもしれません。

息

 

ここで言っているのは、最低限の力を残す脱力であって、ぐーたら過ごすこととは違いますのでそこはよぉくご理解くださいませ(笑)
参考文献:「海・呼吸・古代形象」三木成夫、うぶすな書院、「究極の身体〈講談社+a文庫〉」高岡英夫、講談社

鍼灸師 西村 亮二

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