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不育症という考え方

「不育症」という言葉があります。
習慣流産(3回以上連続で行った場合)、あるいは反復流産(2回以上の連続流産)などの経験がある場合をいいます。
不育症の原因の多くは「胎児の染色体異常」と「原因不明のもの」と言われています。
他にも母体の自己免疫異常や子宮奇形、夫婦染色体異常などありますが、上記の2つで原因全体の70%以上を占めています。
その主な原因の一つの「胎児の染色体異常」の場合は「自然淘汰」という偶発的なものであるため、次の妊娠のときに同じ原因で流産を繰り返す確率は低いと考えられています。そのため、1回のみの流産では大抵検査などは行わないようです。
これを偶発的な原因として「偶発因子」ととらえます。
その後、2回、3回と流産が続くようですと母体に問題がある可能性が出てくるため、検査がはじまります。
母体が原因となる治療可能なものは、血液凝固異常、免疫異常、子宮奇形などがあります。
これらを「反復因子」と考えます。
他に夫婦の染色体異常というものもありその中に「転座」などがあります。
これは胎児の染色体異常と共に治療できるものではないので「偶発因子」となります。
私が読んだ本(「流産になかないで」主婦の友社)ではこのように「偶発因子」と「反復因子」に分けて1回1回の流産の原因をできるだけ明確にすることを勧めていました。
つまり反復因子があれば治療しそれでも流産があれば偶発因子の可能性もあるとして、胎盤の細胞の染色体を検査して異常だったのかどうかを調べるという方法です。もし結果が偶発因子であれば治療の成果を疑う必要はなく、次は成功する可能性があるとわかるという考え方です。
このようにして「なぜ今回流産したのか」がわかることで「次はどうしたらいいのか」が導き出せるのは自分の気持ちを整理し易く不安に陥りがちな状況の多少の助けにはなるかもしれません。
また原因不明といわれる流産に関しても同種免疫異常の治療があり、80%以上の成功率があるそうです(上記書籍より)
さらに柴苓湯や当帰芍薬散などの漢方薬を西洋医学的治療と併用することで効果があるという報告もあるようです。
ただいづれにしても、通っている医療施設にその設備や治療法があるかどうかにもよるのでまずは主治医に相談してみる必要がありそうです。

ところが、一方では、不育症治療の有無にかかわらず不育症の約9割が生児を得ている、つまり、治療してもしなくても妊娠率はほとんど変わらないというエビデンスがあるとも言われてもいます。
もしそうであるならば、原因究明、治療などで解決できない場合も考えるとあまりこの「不育症」という言葉に振り回されない方がいいのではないかとも思えてきます。

実は私も流産の経験があります。
偶発因子の「胎児の染色体異常」が理由でした。
まだ12週目でしたが、お腹のベビーに話しかけていたので、「心拍が停止している」といわれた時は状況を全く受け入れることができず、「また動き出すのではないか」と思えて子宮内を掻爬することに抵抗がありましたし、掻爬手術の後は心の整理ができず、泣いてばかりでした。 友人に悲しみをシェアしたいのですが、かえって傷つくことがあり(その人に悪気がないのはわかっているのですが)、ひたすらネットで同じ経験をした人の話を探して自分の気持ちを整理したように思います。
こういった自分でコントロールできないあいまいさに満ちた状況は全ての問題を解決できるとし、またそれに慣れている現代社会に生きる我々には心理的にかなり厳しくつらいものがあります。
今後さらに免疫学・血液凝固学などの発展によりこの分野での研究が日々深まって、治療法がさらに進歩改善されてゆくことが期待できるかと思いますし、社会ももっと子どもが作れるような健康的な生活環境の促進(例えばよりストレスの少なく働ける社会や食品の安全性の確保、健康維持のための費用の補助など)をして欲しいと思いますが、各個人としては「流産という経験」が無駄なもの・忘れ去る忌むべき経験としてではなく、「生命」というものを考えさせてくれる大切な機会だったと考えたい、と今の私は思います。

鍼灸師 今井佳子

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