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ARTにおける培養法

通常高度不妊治療(ART)の体外受精・顕微授精といえば、卵子と精子を授精させた後の受精卵を「培養」して子宮に移植します。
つまり「培養」というと通常は受精卵を育てる段階を指しているようです。
通常は培養器の中で受精卵を育て、2~3日間で4~8細胞に育った初期胚、あるいは5日間培養して胚盤胞まで育てて、移植します。

ところで、この「培養」ですが、どんな風に管理されるのか、医療機関全てで同じなのだろうか、と疑問に思ったことはないでしょうか。
また培養液は一体どんなものでできているのでしょうか? 

結論から申しますと、やはり培養器や培養法などは各医療施設によって違いがあるようです。
例えば、培養器の胚を1日1回観察するところから、30分に1回という頻度で観察している所まであったり、受精卵を外に出さずに培養器の中のまま観察することでなるべく受精卵にストレスを与えないなどの工夫をしているところなど様々です。
また培養に使う培養液を作る企業が数社あり、またどの社のものを採用するかも医療施設によって異なります。
さらに卵子、精子、胚などのステージによって培養液には違いがあるようです。

まず培養液は受精卵を育てる他にも精子の洗浄や調整、成熟状態が足りない卵子は採卵してから3~5時間培養して受精可能な状態にする前培養、さらに良好運動精子をシャーレに入れて卵子と一緒に培養する(=媒精)などにも使われそれぞれのステージで違う内容の培養液が使われるようです。
興味深いのは受精卵の分割ステージでも各分割状態によって必要な栄養素や割合が違うのでそれにあった培養液を使用していることです。

例えば、私が見たサイトでは、胚の各ステージによってブドウ糖濃度というエネルギー源の濃度が多かったり少なかったりするということでした。 
それは各ステージの胚が母体にある時の状態に似せて濃度を合わるために起こるのだそうです。 
例えば初期胚は本来の母体内では「排卵期卵管液」つまり排卵期の卵管の中にあり、その体液を分析するとのブドウ糖は低濃度の液であるそうです(むしろ多いと害があったりするそうです)そこでそのような配分の培養液を使うのだそうです。
また胚盤胞の場合、本来なら「子宮内腔液」の中にいるので、その状態を分析した濃度(=ブドウ糖が高濃度)の培養液で管理する、などです。 
これらの母体の状態に似せて段階的に培養液を変化させる方法を「シーケンシャルメディア」と呼ぶそうです。
(体外受精の培養液:http://www.geocities.jp/doku_motti/neo-ART/ART03.html)

また他のサイトでもたんぱく質の量の調節や胚移植直前にヒアルロン酸を配合して着床率を上げるものなどの工夫が記されており、いかにして妊娠率を上げるかを各施設が熱心に研究している様子が伺え興味深いと思います。

他にも培養液の管理や組成内容などを調査したリポートなどありましたので、興味のある方はご覧ください
■「培養液レポート」~Fine会報誌2007冬号より:http://j-fine.jp/kaihoushi/baiyo08.html
抗生物質、血清の使用などがあることがはっきり明記されていますが、安全管理の為と理解できるので納得できるかもしれません。

結論としては、基本的にはどの培養液も母体の状態(分割状態によって変化している)と同様の濃度・割合に合うよう調合しているようですが、まだ完全に母体の卵管液・子宮内腔液の状態を分析・解明していないのが現状だそうです。

最後に、上記サイトにも書かれていましたが、こういった知識を持ったところで、現在の私たちは「○×の組成の培養液で培養してください」「着床率を上げる培養液でお願いします」などの注文はできず、その医療機関と胚培養士さんにお任せするのみとなります。
しかしながら、自分の大切な一部がどんな管理下に置かれるのかを理解することは重要であり且その意識を高めることでより安全で良質な治療を選んでいく目が養われ、有益なのではないかと思います。
また、このような微妙な調整を当たり前のように行う人間の体の神秘について毎度ながら
驚き且感動してしまいますが、それと同時に、より人体の自然な働きに近いものを提供しようとその解明に日々ひたすら努力されている医療従事者の方々にも心からの賛辞と感謝の気持ちを送りたいと感じました。

鍼灸師 今井佳子

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