2012年6月〜2015年3月在籍。アキュラ鍼灸院で英語が堪能な鍼灸師として活躍。その後、世界一周豪華客船のクルー(鍼灸師)として世界の海の上で外国の患者様を施術。帰国後、妊娠・出産。自身の妊娠・出産中の鍼灸治療の体験記です。
K.H.さまからのメッセージ
アキュラで鍼灸師として働いていた時、多くの患者さんが新しい命とともに卒業されていきました。喜びでいっぱいの患者さんからよく聞かれたのが、「これからも鍼灸は続けた方がいいですか?」という質問でした。もちろん鍼灸が妊娠中の不調や安産に効果があることは知っていましたが、出産経験がなかった当時はリアリティがなく、「不調が出るようなら来てください」とお伝えしていました。
今なら、妊娠出産にいたった全ての患者さんに力強く言い切れます。「妊娠中も、そして出産後も鍼灸はやりましょう!」
産院の先生や助産師さん、私と家族全員が帝王切開を考えていた状況で、びっくりするほどの安産だったのは、ひとえに鍼灸のおかげでした。
妊娠中の赤ちゃんの成長について、イラストを見る機会があると思います。日々成長する赤ちゃんのイラストは心強いのですが、その日々巨大化する子宮の周りには大腸や小腸や胃、肝臓などの内臓が押し出されてぎゅうぎゅうになっていることを、実際に妊娠するまですっかり失念していました。当時の手帳を見ると、毎日が苦痛の連続だったことがわかります。妊娠初期のつわりとはまた違った、内臓が中からかき回されるような不思議な感覚です。子宮の中で赤ちゃんが動くたびに、ビリビリとお腹が張ります。よく赤ちゃんの頭っぽいものや膝っぽいものが形がわかるほどにお腹から出ていました。
赤ちゃんが大きくなるにつれ、胃が上に押し出されているので横になると胃液が口まで溢れ、腎臓が圧迫されるので血尿がでて、足は象のようにむくみ、10分以上座ることができず、10秒以上立つことができず、坂道が歩けず、寝られず、だんだん通常の生活ができなくなります。
妊娠中、可能な限り鍼灸を受けていました。鍼で、凝り固まった背中が解され、冷え切った下半身がお灸で温まると、子宮がリラックスするのがわかりました。赤ちゃんが鍼灸に反応し、のびのびしているのもわかりました。高齢出産ということもあり、毎回の検査が心配でいっぱいでしたが、毎回「とても元気に動いていますね」と太鼓判を押されていました。
出産一ヶ月前までアキュラで受付として働かせていただいたのですが、それができたもの院長やスタッフのみなさんのサポートと鍼灸があったからでした。お腹が張りすぎて勤務できないほどの時は、院長が治療をしてくださり、電車で帰れるほどに回復しました。また、頑固な逆子に悩んでいたのですが、スタッフの先生が逆子灸と経絡の鍼で、翌日の検査では頭が下になりました。
最終的に、出産5日前まで鍼に通っていました。そして予定日3日前に破水をしました。
一晩たっても陣痛が来ないので、陣痛促進剤を入れることになりました。産院の先生や助産師さんは全員、「これは帝王切開かな」と思っていたらしく、丁寧に帝王切開の必要性を説明し、説得されました。手術の準備も進んでいたようなのですが、結果的に促進剤がとても効いて、3時間で出産という、先生が驚くほどの安産となりました。
アキュラで受付をしていた当時の私を見た方はご存知だと思いますが、とにかくお腹が大きかったのです。中身もとにかく大きく、息子は体重は4キロ近く、特に頭が平均より3cm大きかったそうです。通常なら確実に帝王切開だったそうです。
後で、ベテランの助産師さんに「それは鍼をしていたから、骨盤の筋肉がやわらかかったのねえ」と言われ、鍼灸って本当にすごいなと改めて感心しました。
退院後も、友人やアキュラのスタッフの先生が遊びに来て、赤ちゃんの世話を手伝ってくれたり、鍼をしてくれました。
そのおかげで産後の肥立ちも非常に早く、2ヶ月で海外、3ヶ月で国内の旅行(帰省)をし、6ヶ月目でフルタイムの仕事に復帰しました。(子供は旅行先の方が体調も機嫌も良いこともわかりました。遺伝ですかね)
鍼灸は自分にもともと備わっている治癒能力を引き出す、非常に強力かつ安心なツールです。妊活で鍼灸の恩恵を受けたみなさんには、ぜひそれ以降の恩恵も存分に受けていただきたいです。