胚盤胞のスコアでもっとも高い確率で生児につながる受精卵のスコアは?

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みなさん、胚盤胞のスコアでもっとも高い確率で生児につながる受精卵のスコアはどれだと思いますか?

答えは: 5AA > 4AA > 6AA > 5AB > 3AA > 5BA > 4AB > 2AA > 4BA

論文タイトル

Morphological parameters of the blastocyst to predict embryo quality: a systematic review and meta‑analysis
(胚盤胞の形態パラメータによる胚質予測:システマティックレビューとメタ解析)
2025年4月24日発表の論文より解説(Journal of Assisted Reproduction and Genetics)

◆ 結論から:最も生児出生率が高いスコアは?


形態スコアごとの生児出生率を比較した結果、最も高確率で出産につながる胚盤胞スコアは「5AA」でした。以下は、生児出生率の高い順に並べたスコアです:

5AA > 4AA > 6AA > 5AB > 3AA > 5BA > 4AB > 2AA > 4BA

つまり、Gardner分類で「5AA」が最良スコアという結論が出ています。当たり前といえばあたりまえですが、5AAが最強ですね。興味深いのが4ABや5BAより3AAの方が確率が高いということです。私は2AAで凍結された受精卵を移植される患者さんにお会いしたことがないのですが、2AAは4BAより高確率です。

下記、今回の研究の詳細です。もっと詳しく知りたい方は参考にしてください。

ガードナーの分類について

(Gardner分類、Gardner and Schoolcraft grading system)は、1999年にDavid K. Gardner博士とMichelle Lane博士らによって発表された論文に基づいて提唱されました。

ガードナー分類とは?
胚盤胞(blastocyst)の以下の3つの構造的パラメータに基づいて胚の質を評価する分類法です。

Expansion(拡張度):0~6の数字で評価

ICM(内部細胞塊):A~Cで評価

TE(栄養外胚葉):A~Cで評価

たとえば「5AA」というスコアは、

拡張度:5(完全に拡張した胚盤胞)

ICM:A(密集して規則的な細胞塊)

TE:A(多くの均一な上皮細胞)

という意味になります。

ICMは胎児になる部分。
TEは胎盤になる部分

◆ 研究の目的


本研究の目的は、ART(体外受精・ICSI)において、生児出生につながる良好胚を形態的に見極める方法を明確にすることです。
とくに、Gardner分類で評価される3つの形態的要素:

Expansion(拡張度)

ICM(内部細胞塊)

TE(栄養外胚葉)

それぞれの因子が生児出生率にどの程度関係するかを系統的に評価し、スコアごとの優先順位を明らかにしています。

◆ 研究方法


検索データベース: CINAHL, Cochrane, Embase, MEDLINE, PubMed, Scopus など

検索期間: 2023年2月26日までに発表された論文を対象

分析対象:
 - 合計33研究
 - 対象胚数:42,974個
 - 患者数:46,099人
 - うち生児出生データを含む研究:19件(30,651胚)

◆ 主な結果


● 最も生児出生率と相関が強かった形態因子:
TE(栄養外胚葉)グレード A

ICM(内部細胞塊)グレード A

Expansion(拡張度)スコア 5

→ Expansion の影響は比較的限定的で、生児出生率に与える影響は他の要素より小さいとされました。

● スコア別の生児出生率(高→低):
5AA > 4AA > 6AA > 5AB > 3AA > 5BA > 4AB > 2AA > 4BA

※最も低評価は「1CC」ですが、それでも「絶望的」ではないとされています。

◆ 臨床的示唆
胚移植の現場で、非侵襲的で再現性のある胚評価方法として形態評価は有用

特に TEグレードA は生児出生率にもっとも強く関連

形態スコア「5AA」や「4AA」 は、実臨床でも胚選択におけるガイドラインとして重視すべき

一方で、Expansionスコアは過度に重視しすぎないことが重要

◆ 補足:形態評価と染色体正常性(euploidy)の関係


別の研究では、Expansion、TE、ICMのスコアと染色体正常性との関連性が報告されており、

PGT-A未実施でも、形態スコアからeuploid胚を推定できる可能性が示唆されています。

🔍 まとめ


「5AA」胚は、形態評価の観点からも、もっとも妊娠と生児出生の可能性が高い理想的な胚とされています。
ただし、形態評価は染色体異常を完全には予測できないため、あくまで総合的判断の一助と捉えることが重要です。

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