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鍼灸適応疾患

帯状疱疹後神経痛と鍼灸治療

帯状疱疹後神経痛に悩む方は少なくありません。帯状疱疹後神経痛を初めとする神経痛一般に鍼灸は大変効果があります。

帯状疱疹とは

帯状疱疹は、水痘ウイルスによって引き起こされる感染症です。 ヘルペスとも呼ばれますが、性病のヘルペスとはタイプの違う、いわゆる水ぼうそうのウイルスのことです。ほとんどの人が体の中に持っているウイルスですが、病気やストレスなどで体力が落ちると、そのウイルスが暴れ出して症状を出すのです。 まず腰痛腰痛、だるさなどの症状に続き、ピリピリした痛みが始まります。数日後に痛みの部位に赤く小さな水疱がいくつもできます。最初透明だった水疱は、だんだん濁って血がにじんだり、真ん中が黒くおへそのように窪むのが特徴です。 水痘ウィルスは神経根に潜んでいるため、神経の筋道にそって疱疹ができ、激しい痛みを伴います。脇腹(肋間)と顔面に出ることが多く、肋間では神経支配領域が肋骨に沿って帯状に走っているため、疱疹も帯状に広がります。まさに『帯状疱疹』というわけです。 また、顔面では特に耳から上顎にかけて出ることが多く、この場合は耳に痛みが出たり、難聴、耳鳴りなどの症状が出ることもあります。顔面神経の領域に出る帯状疱疹を「ラムゼイ・ハント症候群」と呼びます。口の中にも水疱ができ、アフタ(荒れた状態)になりますが、顔面の片側にしか出ないのが特徴です。症状のある側にマヒが起こり、そちら側から食べ物や飲み物がこぼれてしまったり、目が閉じられなくなったりします。

西洋医学的治療

ウイルス性であるため、抗ウイルス剤と、痛みを抑える非ステロイド系の抗炎症剤、ガンマグロブリン投与、ビタミンB12の内服などが一般的です。顔面の場合は星状神経節ブロック注射で痛みを止めることもあります。3週間前後で症状は消えますが、治療中は安静が必要です。

後遺症としての神経痛

帯状疱疹が消えた後も、ピリピリした痛みだけが後遺症として数ヶ月から数年残ってしまうことがあります。それが脇腹の帯状疱疹の後であれば肋間神経痛、顔であれば三叉神経痛と呼ばれるようになるのです。(ただし、肋間神経痛や顔面神経痛の原因のすべてが帯状疱疹というわけではありません) なぜ神経痛が残ってしまうかについてはまだよく分かっていませんが、もう痛くないのに、末梢の神経が可逆性に変性したため、いつまでも「痛い」という信号を脳に送り続けてしまうために起こる痛みだという説もあります。 この神経痛に対して、西洋医学では神経ブロックの注射で痛みをブロックするという方法をとるのが一般的です。ところが、この神経ブロックの注射自体が非常に痛みを伴うものであるということや、神経ブロックがあまり効かない例もあり、これといった特効薬がありません。

鍼灸のアプローチ

では、鍼灸はこの帯状疱疹後神経痛にどのようにアプローチするのでしょうか。まずは神経痛が起こるしくみから考えてみましょう。 どのくらいの刺激で神経が反応するかをあらわす値を『閾値』といいますが、これが高ければ少々のことでは反応せず、低ければちょっとの刺激でも反応するということになります。 神経痛では、なんらかの原因でこの『閾値』が低くなり、わずかな風に当たっただけでも痛みの発作が出るという、過敏な状態になっています。鍼刺激は、この痛みを伝える神経に抑制的に働き、閾値を下げるのです。それでなくても痛い神経に鍼灸治療をするともっと痛くなりそうですが、科学的にも強刺激が神経を抑制するということが証明されています。(Le Bars et al., 1979) また、WHOも帯状疱疹後の神経痛は鍼灸によって効果があると認めています。WHOに報告されたトライアルによれば、薬による治療では平均10.5〜10.4日で痛みが消えたのに対し、鍼(レーザー)では1.48日〜5.76日で消えたとあります。(Wang,1998) また、帯状疱疹を発症すること自体、非常にストレスを感じておられたり、疲れて免疫力が下がった状態であることの証でもあるので、局所だけでなく全身の鍼灸治療によって自然治癒力を惹起していくことも大切です。 神経痛は、発症から日が浅いほうが治りやすく、長期間を経たものでは完治まで長い時間がかかってしまうものです。一日も早く治療にかかられることをおすすめします。


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